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2020年1月22日 (水)

連載俳句と“からだ” 131

連載俳句と“からだ” 131
愛知 三島広志
認知症
 医療介護福祉の世界で「2025年問題」
と懸念されている重要事項がある。2025
年は団塊の世代が後期高齢者になる年だ
。これまで日本の社会を支えてきた団塊
の世代が高齢となり医療機関での受療機
会が増え、介護する立場から介護される
側に回る。年金は既に納める側から受け
取る側になっている。
今後、高齢者層は人口が増えると同時
に長命になる。さらに彼らを支える若い
労働世代が減少している。高齢者を支え
る社会基盤は極めて弱いのだ。
こうして2025年にやってくる問題をど
う乗り越えるのか、今何を準備しなけれ
ばならないのかが最大の懸案事項なのだ
。医療や福祉の社会保障費の捻出、支え
るマンパワーの確保、外国人労働者の積
極的導入など問題は山積みである。
 生身魂七十と申し達者なり 正岡子規
                  
      
 高齢者に関わる問題の中で認知症も重
要な懸案である。認知症になるとまとも
な社会生活を送ることが非常に困難とな
り周囲も振り回され疲弊する。放置する
と重大な社会問題が発生する恐れもある

ではそもそも認知症とは何だろう。世
界保健機構によると「認知症は、脳疾患
による症候群で、慢性または進行性であ
ることが多く、記憶、思考、見当識、理
解、計算、学習能力、言語、判断などの
複数の高次大脳皮質機能にしょうがいが
発現するが、意識は影響を受けない」と
されている。認知症は原因が特定された
病気ではなく症状の総合体である症候群
である。具体的にはアルツハイマー型、
脳血管性型、レビー小体型がそれぞれ
60%、20%、10%、それ以外が10%とさ
れている。いずれにしても認知症とは一
度正常に発達した脳が器質的脳障害によ
り知能が不可逆的に低下した状態である

柿食ふや命あまさず生きよの語 
石田波郷
具体的な症状は中核症状と周辺症状に
分類される。中核症状は記憶障害、見当
識障害、判断力低下、実行機能障害であ
る。それに対して周辺症状は妄想、うつ

、無気力などの精神症状と徘徊、興奮、
攻撃、暴力、暴言などの行動異常を示す
。現実問題として周囲を振り回すのはこ
の周辺症状である。徘徊による電車事故
や認知症運転手による自動車事故など社
会的問題となる。2025年には65歳以上の
3人に1人が認知症もしくはその予備軍と
目されている。これは当人やその家族だ
けの問題ではなく社会全体の問題である
。これからを生きる者として、支える側
、支えられる側を問わず考慮していかな
ければならない。
万緑の底に棺桶用の樹よ

櫂未知子

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