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2020年1月23日 (木)

連載俳句と“からだ” 155

連載俳句と“からだ” 155
愛知 三島広志
ALS
 「ALSという病気をご存じですか」と
尋ねられた。参議院議員選挙にALSを患
う方が立候補されたとのこと。私は過去
に数例、マッサージ師として、ALSの方
に最期まで訪問施術をしたことがある。
ALS(Amyotrophic Lateral
Sclerosis)は、筋萎縮性側索硬化症と
呼ばれる。初期症状には、手足から侵さ
れるケース(全体の3/4)と言葉や嚥下の
障害から気づくケース(全体の1/4)の二
種類がある。2016年の統計によると、日
本には約9,600人の患者がいて、罹患率
は男性の方が1.5倍高い。
神経変性難病の一つで最も重篤なもの
とされ、他の神経変性症と比較して進行
が速い。筋肉の動きを支配する脊髄の運
動ニューロン(運動神経細胞)が侵され
るため、身体運動が阻害され、次第に筋
肉がやせ細ってくる。呼吸のための筋肉
も阻害され、ついには呼吸困難となり死
に至る難病である。目下治療法は存在し
ない。
 大脳でコップを掴もうと考えたとする
。その情報は脊髄を経て手の神経を通じ
て筋肉を動かす。その結果コップを持つ
ことができる。ALSは、この脳から脊髄
までの過程で何らかの変性が起こって発
症するとされる。意識や感覚は清明であ
るにも関わらず全く動けなくなる。起居
歩行や会話という基本的活動はおろか、
顔に蠅が止まっても払うことさえできな
くなる。ただ、目や口に微かに意識的動
作が残存する。周囲をじっと見守り思考
することは可能だが、何ら表現や活動が
許されないという厳しい病気だ。
米国では大リーグのルー・ゲーリッグ
が現役で罹患して知られることとなり、
ルー・ゲーリッグ病と呼ばれている。日
本では俳人の故折笠美秋氏がこの病気と
闘い、その様子がドラマ化され注目を集
めた。
ひかり野へ君なら蝶に乗れるだろう
折笠美秋
 ALSの最大の問題は呼吸と嚥下の能力
が失われることだ。かつては為す術無く
発症後数年で亡くなった。
現在では人工呼吸器や胃瘻の技術、環

境 (医療福祉機器や人的援助)の 整備に
よって、社会的に生きることが可能とな
った。大変厳しい病気だが、強い意志と
支援があれば十分生きていける。援助す
る組織も存在する。目の動きでボード上
の文字を示し、瞼や噛む動作でPCを使い
、意思疎通や意見表明などの活動もでき
る。そして国会議員に立候補する方も現
れたのだ。
 遠山櫻治らぬ人に触れて来し
三島広志

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