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2011年9月 8日 (木)

游氣塾 身体調整セミナー試案

游氣塾 身体調整セミナー試案

 

游氣塾 主宰 三島広志


《 アウトライン》

A,環境と身体と皮膚 

B,生命と經絡 

C,經絡と情報の収集・整理・表現

D,經絡と発生学

E,皮膚と手当て

F,深奥と表層

G,氣

H,氣と言葉、氣とイマジネーション、氣の手当て(エクササイズ)

I,身体の使い方と意識化

  

《内容》 

A,環境と身体と皮膚

 環境はいのちを育むあらゆる条件を備えた場である。

 身体は皮膚によって区切られているが、区切った皮膚の中は環境にほかならない。

     皮膚の外 外部環境 陸      空      海

     皮膚の中 内部環境 腸(消化器) 肺(呼吸器) 血液(循環器)

 

 いのちは環境と交流することで初めて存在可能となる。

 

 外部環境 大宇宙・外的自然

      空間的・時間的変化 流れ リズム

 内部環境 小宇宙・内的自然

      生きるとは外部環境に調和し、委ね、任せ、待つこと。

 我    不調和、不自然、リズム(間)に乗らない(間抜け)

      我→手+戈(ほこ) 手に戈を持って我が身を守る。

 

B,生命と經絡

 

生命・・生命は個体保存と種族保存を行う。

 

 <生命の基本的な働き>

 

 情報の収集(吸息・食物・外敵不審者・交配相手・環境の変化を認知)

 情報の整理(内呼吸・消化・選択・交配相手選別・環境の変化を判断)

 情報の表現(呼息・吸収・逃避闘争・交配行為・環境への働きかけ・行動)

 

 いのちは本来アメーバのように“混沌たる単純”で環境としての海をそのまま膜でくるんでいた。しかし進化の過程で身体は活動しやすいように様々な器官を発達させ、より環境への適応を目指した。

 ところが身体が秩序ある器官の集合体であるためには、生命統括機構が必要であり、それは複雑化するほど重要になる。

 

 アメーバはあらゆる情報を原形質流動というコロイドのゾル-ゲル転換で行っている。

 ヒトのような多細胞生物においても1つの細胞内はアメーバと同様である。

 多くの細胞を貫く生命統制機構として原形質流動様の働きをするものとして經絡が仮定され、科学的に証明される事なく経験的に臨床応用されている。

 

 經絡は原初的生命活動を12にパターン化。

 經絡は発生学から見たほうが理解しやすい。

 

經絡

 生命の基礎的な動き、働き。生命の流動性を示す概念。

 全生命体普遍の機能。

 生命エネルギーが循環するルートで、肉体と精神を総括する生命統制機構。

 原初的生命活動を12にパターン化。

 身体調整のシステムとして応用する。

 

 

肺・大腸

 呼吸 魄 天の氣導入 無形のものを取り込む(雰囲気・精神的財産・人当

 たり・無形の影響力) 悲しみ

 

脾・胃

 食事 意 地の氣・水穀の氣導入 摂食行為 ものを取り込む(財産・知識・人脈・物質欲) 思い

 

心・小腸

 知覚 神 氣の統括 中心 感覚 知覚 取り込んだ種種の情報を整理・処理し同化する 喜び

 

腎・膀胱

 元気 志 生命素“精”を作る 先天的・親からもらった元気の座 丹田 生殖 驚き 恐れ

 

心包・三焦

 防衛 神 氣・血循環 環境から内部を守ると同時に環境と適応しようとする 喜び

 

肝・胆

 動作 魂 決断 実行 活動 迷い 攻撃 怒り

 

C,經絡と情報の収集・整理・表現

 

収集   肺・脾  捕食 呼吸(取り入れる) 知覚 交配相手発見

 

整理   心・心包  消化 呼吸(O・・CO・選別) 選択 判断 交配相手選別

 

表現   肝・腎  吸収 呼吸(吐き出す・活用する) 行動 排泄 交配  実施

 

 

D,經絡と発生学

 

<胚葉>

    經絡指圧の増永静人による分類

 外胚葉(外皮・伝導)  肺・大腸  心包・三焦

ヒフ・神経・脳

 

 中胚葉(支持・運動)  肝・胆  腎・膀胱(増永案では腎・膀胱の代わりに骨格・筋肉・血液 脾・胃が入る)  

 

 内胚葉(内臓器官)   心・小腸  脾・胃(増永では脾・胃の代わりに内臓諸器官 腎・膀胱が入る)

 

 經絡は未発達の生命体をモデルにしたほうが理解しやすい。そのために発生初期の胚葉 を經絡に置き換えてみる。この試みは細かな相違点は多く見られるものの日本でも中国でも行われている。

 

 増永静人の分類には大いに啓発される。しかし一部に疑問がある。確かめようにも本人が世を去っているので、ここには私案と増永の原案の両方を載せた。

これをもって増永静人を否定するものではない。

 

  腎・膀胱は支持器官の骨に関係があるとされており、しかも生命活動源の“精”を作り、また親からの“先天の元気”の宿るところであるから中胚葉に置いた。

 

 脾・胃は地の氣・水穀の氣を取り込み、エネルギーに変えるところであり、内臓の中心的存在であるから内胚葉に加える。

 

 

胚葉と經絡・姿勢との関係

(by増永静人、一部三島改変)

 

外胚葉(皮膚・脳神経系)

呼吸系

 交換・排出<外気導入・欠伸・深呼吸の姿勢>

   肺        相傅(ソウフ:総理大臣)の官、治節出ず

  大腸        伝導(官房長官)の官、変化出ず

 

循環系

 循環・保護<表裏営衛・寒さから身を守る姿勢>

  心包        臣使(家来)の官、喜楽出ず

  三焦        決涜(ケットク:溝を開いて水を流す)の官、水道出ず

 

中胚葉(筋肉・骨格・血液)

運動系

 貯蔵・配分<右顧左眄・右か左か迷う、決断がつかない姿勢・動作>   

   肝        将軍の官、謀慮出ず

   胆        中正の官、決断出ず

 

ホルモン・自律神経系

 精気・清浄<発進態勢・準備完了の姿勢>

   腎        作強の官、伎巧(優れた技)

  膀胱        州都(地方長官で末端の需給調節)の官、津液出ず

 

内胚葉(内臓諸器官)

こころ・感覚系 

 転換・統制<沈思黙考・座禅の姿勢>

   心        君主(全体を見て外の刺激、変化に機敏に反応)の官、神明(全てを見通す全能の力)出ず

  小腸        受盛(エネルギーを受け、盛んに身体に取り入れる)の官、化物(ケブツ・ものを変化する)出ず

消化系

 摂食・消化<獣が餌を抱きかかえる姿勢・食物獲得>

   脾        倉稟(ソーリン・米蔵)の官、五味出ず

   胃                同  上    

 

[補]

『臓腑名の由来』

肺・・双葉がパッと開くように動く

腸・・長いはらわた

焦・・焼く、熱エネルギーを生じる

肝・・干=幹、中心

胆・・日が地平線に沈む、ずっしり落ち着かせる

脾・・薄く平らなもの

胃・・食べ物が袋にたまっている

心・・心臓の象形、心身の相関を実感しやすい内臓

腎・・がっちり堅い、全身をがっちり堅くする

膀・・旁は張って膨れた様子

胱・・光は広と同じで、広がりを示す、袋の意

 

E,皮膚と手当

 皮膚

 区切り(情報遮断・防衛・異化・交感)と交流(情報入力・同化・排泄・副交感) 

 <生体膜> 環境と個体を区切る。

       環境と個体を交流する。

 <感覚器> 外部からの刺激を受け止め、表層(後述)に伝える。

       ストレートに深奥(後述)に届くこともある(心に響く)。

       内部の刺激も同時に受け止めているが認識しにくい。

       物を持った時、物の重さを感じると同時に、筋肉感覚(身体感覚)も感じている(内観)。

       

手当て

 古来より医療のことを“手当て”という行為が象徴し、その呼称にもなってきた。

環境の変化に身体の恒常性がうまく保たれなかったり、怪我をした時などのような肉体 的精神的苦痛に対し、手を当てるという行為で苦しみに共感し、治療しようとした。

 

 皮膚は[交流]と[区切り]という相反した働きをしている。

 しかし、生命は個体保存という本質的に防衛重視なので、区切りに比重が傾きやすい。

 [区切り]は、自律神経の交感神経、[交流]は副交感神経が主として司る。

 

 交感神経支配の強い皮膚に対し、副交感神経優位にした術者の手を当てることで、皮膚を副交感神経的リラクセーションに導き、生命力の喚起を待つ。

 

 「手当て」とは弱いところをかばい補うこと。

 ボーナスも家計を補う意味で夏期手当て、歳末手当てと呼ぶ。

 医療の原点を「手当て」(弱いところをかばい、エネルギーを補う)と言い、看病のことを「介抱」と言う。

 これらは触れ合うことが医療の根底にあることを示している。そもそも基本的な人間関係を「触れ合い」と呼ぶのはその名残りである。

 

 皮膚は防衛のため常に交感神経優位の緊張状態。そこに優しく暖かい手による副交感神経優位の「手当て」が良い影響を与え、身体をリラックスさせる。

 これによって身体活動に好ましい状況が生まれる。これが身体調整の根本である。

 

F,深奥と表層

 身体を深奥と表層に単純化してみる。

 

深奥

 無意識的 過去的(未来も?) 生育史 本能的 イメージの海

 生まれて以来の体験・体感した経験や無自覚の記憶、雰囲気、自己の感情等あらゆるものがイメージとしてプールされている。

 母に優しく抱かれた喜び、泣き叫んでも誰も来てくれなかった淋しさ(抱かれた喜びを知る人は手当てで喜びを感じる・・・紙おむつはこの機会を奪う)。

 

 体験を集積した好ましい人の顔付きのイメージ、反対に好ましくない人のイメージから人を第一印象で判断する。

 思わぬ判断・行為をするのは多分に深奥の影響から。

 瞑想などの訓練はこのイメージをプラスに働かせるため。

 

 生物の歴史そのものも遺伝子情報として溜めている。

  爬虫類が怖い・・恐竜の記憶

  朝がだめ・・夜行性動物の記憶

  冬がだめ・・冬眠性動物の記憶

  奇形は多く、爬虫類・魚類・鳥類の形態がそのまま発生してしまうこと。

 

表層

 意識的 現在的 大脳皮質的 孤立的

 意識的に生きていると実感する層。

 外界と深奥の間で揺れる自我。深奥は自己。(宗教的分類)

 自分が自分であると思っている部分。

 常に外界に刺激され、深奥に揺さぶられながら健気に生きて行こうとしている。

 

G,氣

 氣とは森羅万象の奥に潜む実在の力。

 身体に影響する内(生命力)、外(環境)の根源的なエネルギー。

 不可視でも感応し、強力なパワーとして現象。

 理論的に説明不可能な場合に多用する便利用語。

 

[語源からのアプローチ]

 既・・座って食事をする様子 食によって氣が満ちた勢力を表す

 氣・・米と湯気 米によって得た生気から、米の意味が薄れたもの したがって食そのものの実体は食+氣で表す

 云・・雲(自然の氣)、転(動き)、魂(人体に出入りするもの)

 鬼・・キ・ケ→怪 物の怪(もののけ)、気配

 機・・タイミング(機会)、時間的氣

   

H,氣と言葉、氣とイマジネーション、気の手当て(エクササイズ)

 

重心変化  上・下 過去・未来 前・後ろ等の言葉掛けで重心が移動する。

身体変化  雲 鉄 岩等のイマジネーションで身体が変化する。

掌熱感   合掌で行う氣の体感。深い呼吸が大切。

腹熱感   腹への手当てで氣の体感。深い呼吸が大切。

經絡体験  AKの技術から筋肉の反射で經絡を実感。重心変化、身体変化も可能。

氣で触れる 掌熱感の手で人に触れる。人の手による腹熱感を味わう。

經絡実感  經絡の流れを体感する(自分のからだと相手のからだで)。

その他   勁力 伝達 

 

I,身体の使い方と意識化

 身体の各部位を意識化、自覚化することで技の高度化を図る。

 身体の中に垂直軸(腰の意識)と中心(腹の意識・丹田)を育てる。

 垂直軸は常に保ち、中心は身体の内外を問わず自由に移動出来るように訓練

する。

 訓練は日常化しなければ身につかない。

 常に身体は垂直軸と中心を保ちつつ、脱落(脱力ではない)しなければならない。

 

 掌  触れ方(触れられ方)、柔らかく暖かく、働きかけと情報収集

 手首  活かす(豆状骨を起こす)、肘に伝える、肘から伝わる

 肘  締める(豆状骨を起こす) 垂らす(肩の脱落)

 肩  落とす 沈める 沈肩墜肘

 腋  丸く緩める ゆとり

 頭・首・背中  天に伸びる 天からぶら下がる 吊るす

 背骨  腰から立つ

 腰  構える きめる 立てる 動きの意識の中心

 はら  落とす 氣を満たす こころの意識の中心

 胸  くつろぐ 開く 空を仰ぐ

 股関節  ゆったり締める 丸く緩める

 膝  バネのようなゆとりを持たせる

 足首  解放して床のエネルギーを伝える

 足底  床との触れ合い 大地に委ねる エネルギーの入力 力の源泉

 

 動きは動こうとする心が氣を動かし、僊(仙)骨から動き始め足底が床に働きかけることから発生する。その流れを身体が伝導し、掌から相手に働きかける。

 骨盤と手掌は連動する。手掌を立てると腰が決まる。

  背屈・・仙骨前屈(腰が決まる、腹が開く パワーが出やすい)

  掌屈・・仙骨後屈(腰が曲がる、腹が閉じる パワーが出にくい)

 

《游氣法》

   常に深い呼吸を忘れないこと。

触当て

 掌熱感の手で触れ熱を伝える。自分と相手の間に皮膚の感覚は無い。触れる以前にすでに氣で触れることが大切。

浸透

 触れた状態で自分の中の原形質が流れ込むイメージ。

融合

 相手からも原形質が流れ込む。呼吸が合うと深い一体感(生命共感)。

 

 あらゆる技術はすべてここから始まる。

 

揺動

 相手の身体を深奥から揺り動かす。骨格の歪みを調整して行うか、揺りながら骨格の調整をする。

 

切圧

 漢方四診の切脉のように、指圧する。切經。

 

流動

 切圧の状態から、ゆっくり体液を流すように手を移動する。マッサージ的方法。

 

伸展

 ストレッチ。融合の無いストレッチは表面が突っ張るだけ。芯まで伸ばすことが大切。まず自分が十分に伸び、その伸びやかさを相手に伝える。

 

放落

 関節の角度を調節してストンと落とす。操体の瞬間脱力の他力。

 

 ここからさらにモーションパルペーション、モビリゼーション、アジャスト等の技術に発展する。ヨガ、太極拳、スポーツ、武道も同様である。

 

 テーピングでも、自分の身体を同じイメージに保ちながら施すことが肝心である。同じようにテープを張ってもあの先生なら効くが、自分では効かないというのはこの当たりにヒントがある。

 

 

 

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