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2011年9月28日 (水)

俳句とからだ 26

連載俳句と“からだ” 26


愛知 三島広志

軸と骨格

 身体には軸が通っている。それは重力の貫く線であり、意識によって磨かれた線である。元々、身体には骨格という身体を内側から構造的に支持する器官が存在する。その代表は身体のほぼ中心を上下に貫く脊柱である。けれども軸と脊柱とは一致しない。

生物の骨格には外骨格と内骨格がある。昆虫や甲殻類(カニやエビ)などは殻で外部からの衝撃に耐える外骨格という構造になっている。それに対して脊椎動物は内骨格を有し、身体を内側から支持する。内骨格は外骨格に比べ運動の自由性が高く、成長過程で脱皮という儀式も不要なので大型化し易いという特徴がある。無論、人間は内骨格である。

 秋の暮大魚の骨を海が引く 西東三鬼

筋肉と骨

骨格は構造として固定したものではなく筋肉によって支持され、運動も行われる。筋肉は私たちが日常最も意識している器官である。キーボードを叩くのも、歩行するのも筋肉を通じて骨格を動かすことで可能となる。咀嚼や発音、瞬きも筋肉の仕事だ。

筋肉の鎧

 筋肉は骨格を介して身体を自在に操作する運動の中心的存在だが、同時に過度に、そして持続的に緊張して身体を拘束する存在ともなる。ここで腰掛けて脱力して身体を内側から感じてみよう。手を握り締めてはいないだろうか。肩に力が入っていないだろうか。精神的な緊張は肩や胸、腕の緊張として表現される。継続すれば呼吸が浅くなり肩凝りとなる。自覚し難いが緊張は腰や脛の筋肉、頭皮の筋肉、舌、顎などにも現れる。

筋肉は容易に緊張する。緊張は筋肉が身体を甲殻類のような外骨格にして防衛いる状態だ。それは外部からの衝撃に対して構えている状態だ。その状態を筋肉の鎧と呼ぶ人もいる。

こうした緊張を解く上で重用になるのが軸である。身体の中心を上下に貫く重力線がはっきりと形成されると、その軸に身を任せることで全身の緊張が抜ける。筋肉の無駄な収縮がほどけゆったりとした身心脱落の状態となる。そうなれば身体は筋肉でなく、骨格でなく、大空に浮かぶアドバルーンのように自在な存在となる。

実感してみよう。仰向けに寝て、片手を伸ばし天の中心を指差す。その状態で微妙に角度を変えてみる。その時最も腕が軽く感じられる位置、それが腕に軸の通った状態である。実際に試みてほしい。その状態を立って身体の正中心でできれば達人の立ち方となる。軸が通ると肩が軽くなるのである。

 子を負うて肩のかろさや天の川  竹下しづの女

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