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2011年8月29日 (月)

游氣風信 No.198 2007. 2.4

今号の内容は
歯無しにならない話 あるあるでっちあげ
です。


歯無しにならない話

報告が遅くなりましたが、1月9日に行なわれた第10回愛知学院大学モーニングセミナーの簡単なレポートです。

タイトルは
「歯・ハ・は!?
――はなしになる話――
――歯無しにならない話――」

講師は愛知学院大学大学院歯学研究科教授の福井壽男先生。福井先生は歯学博士であり、このモーニングセミナーの責任者として企画のみならず毎回当日の司会運営もされておられる方です。

意外なことに今回初めて会場である愛知学院大学の先生の登場となりました。福井先生のご専門の肩書きは

愛知学院大学歯学部歯科理工学講座
特殊基礎研究教授
口腔先端科学研究所
ナノデンタルサイエンス部門長

と何やら物々しいものです。

しかし、とても気さくな先生でわたしも不思議なご縁から直接ご挨拶をいただき、また電話でお話をする機会もあり、その温かいお人柄に感銘しています。

今回のお話も一般向けに興味深い事例を混ぜながら分かり易く楽しくご紹介くださいました。内容は歯を生涯にわたって如何に維持するか、また歯の役割とは何かということです。

当日頂いた資料をもとに簡単に紹介しましょう。太字は先生からいただいた資料の写しです。

歯の機能
歯の働きは何かということです。
1 咀嚼作用
  唾液の分泌促進
   消化の促進
   細菌の働きを抑制
   ダイエット効果
2 語音の形成
3 顔貌の美的調和

1の咀嚼とは噛む事です。「噛む」という字は「口と歯」ですからうまくできています。まさに歯は噛むためにあります。そして噛むことは唾液の分泌を促進します。唾液はでんぷんの消化酵素であり、食べ物に湿度を与え嚥下を容易にします。ですから消化の促進ということになります。
また、口中の食事カスを洗い流しますから虫歯菌の栄養を奪ってその活動や繁殖を抑制します。
さらによく噛むと食欲中枢を抑制してダイエット効果があるそうです。

2の語音に関しては歯がないとふがふがして発声しにくいことから理解できます。

3の顔貌の美的調和。これも入れ歯を外した方の顔が別人になってしまうことで経験済み。

これらが歯の働きです。

次に噛むことの効用を教わりました。

噛むことの効用
●脳の活性化(ボケ予防)
●記憶力がよくなる
●ガンの予防効果
●太りの防止
●体のバランスの調整
よく噛んで食べることは、健康を維持するのみならず、勉強を効率的にする重要な習慣

噛むことは脳を刺激し、脳の記憶力を高めたり、内臓のコントロールをするそうです。噛む刺激は脳の視床下部の満腹中枢を活性化します。それが内臓脂肪の分解を促進するとのお話でした。

次は歯の疾患について。

歯の疾患の特徴
 歯は新陳代謝機能に劣る
 自然治癒力がない
 人工的修復物で機能回復(入れ歯、冠、ブリッジ、インプラントなど)

歯は他の組織と違って自然に治るということがありません。どうしても人工的に処置をするしかないのです。

歯の2大疾患
むし歯
歯周病

むし歯はむし歯菌の産出する酸が歯を溶かします。砂糖が関与します。また、歯周病は歯槽が退化することで、菌が出す毒が関与するようです。

むし歯の原因
 細菌、糖質、宿主および時間をむし歯の4大因子 これらの重なったときにむし歯が発生

口の中に菌がいて、そのエサになる糖質があり、時間が経過するとむし歯が作られるのです。   
もちろん宿主である歯が無ければむし歯にはなりません。

むし歯の予防には上記のどれかを断てばいい訳です。つまり口の中をきれいにして細菌をいない状態にするかそのエサになる糖分の摂取を極力抑える。さらに時間を空けずにブラッシングをして清潔を保つ。そうすればむし歯の予防ができます。さらにフッ素の塗布も有効だそうです。

歯周病の進行機序
 プラーク(細菌群) → 歯茎に炎症 → 骨をこわす → 歯が抜ける

予防としては食後三分以内のブラッシング。

歯はあなたを救う!
 歯は健康の基本
 噛むことで記憶力増進
 「噛む力=生きる力」

以上が福井先生のお話の骨子でした。

昨年の介護保険の見直しでも歯のケアの重要性が実行に移されました。歯がしっかりしていれば栄養も取れますから健康維持に役立ちます。その上、噛む力が記憶力など脳の機能を維持し、介護予防に極めて有効だからです。

口内の細菌はむし歯や歯周病の原因になるだけではありません。その菌が気管に入り肺を冒すと肺炎になります。誤嚥性肺炎は食べ物が肺に入ってなるのですが、唾液と一緒に口内細菌が流れ込んでも発症する可能性があります。歯科医師の指導のもと、歯科衛生士や看護師による口内ケアの重要性はここにもあるのです。

余談
先日、福井先生から電話を頂きました。そしてあろうことかわたしに講師をしろとおっしゃるのです。先生は通常のモーニングセミナーではなく土曜日に別の機会を設け、普段聞きに来ている人の中からも講師を募集する企画を立てられました。一人希望者がある、それで是非わたしにも何かを話せとのこと。まだ詳細は決まっていませんが受諾することにしました。5月26日土曜日の午前中の予定です。さて一体どうなることでしょう。


あるある でっち上げ

ある健康情報バラエティが納豆を朝晩食べると二週間で痩せるという情報を流したそうです。そのためにスーパーマーケットなどで納豆品切れが相次いだとか。 ところがその実験データもアメリカ人学者の翻訳も捏造したとテレビ局が謝罪しました。愚かさもここに極まれりです。

わたしはあの番組は事実の誇張どころか情報を捏造している悪徳番組だから、信用しないようにと患者さんには注意していました。特に栄養とか血液型占いなどはひどいものです。

そもそもあの番組の進行は秀逸なエンターテイナーである堺正章氏と往年の職人コメディアンの志村けん氏です。二人の仕事は正しい科学情報を伝えることではなく、視聴者をはらはらさせた挙句に笑いを提供することです。その点でお二人は見事に仕事をこなしています。ですから番組の情報はお笑いのネタなのです。

今回の事件の責任の一半は視聴者にもあります。お笑い番組を情報番組であると勘違いして信じたことが問題なのです。それでもわたしごときの物言いよりもテレビの力は圧倒的で、誰もわたしの言うことに耳を貸しません。 それで以下の文章を二年近く前にこのブログに掲載しました。今回の事件にちなみ再録します。

2005/03/10
気をつけろ 健康バラエティ

最近、テレビで健康法番組が大流行。
今日も食堂で隣に座っていた中年夫婦らしき人たちが、新聞のサプリメント広告を見ながら会話をしていました。
「これを飲んだらみんな一週間で痩せたんだよ」
ちらりと見ましたら、今流行のαリポ酸のサプリを指差しています。

あの番組の情報は実にいい加減なのですが、なぜそんなに簡単に人心をたぶらかすことが可能なのか疑問に思っていました。そこにこのようなメールマガジンが届きました。なるほど、だから簡単に騙されるのか。その種明かし。ぜひご覧ください。

■ガイド記事・コラム/αリポ酸にダマされるな!
αリポ酸(チオクト酸)は中年太りの救世主になるのか?健康情報バラエティ番組のマル秘テクニックをお教えします。

http://allabout.co.jp/fashion/diet/closeup/CU20050307A/index.htm?NLV=NL000164-125

ネットが見られない人のために一部引用します。

娯楽性が強い健康情報バラエティ番組を見分ける方法として、これまで「科学者をところどころ映像で登場させるが、スタジオには呼ばない(司会者からゲストまで全て科学的な素養のない人で構成された)番組は、娯楽番組もしくは特定商品の販売目的の宣伝番組だと思って間違いない」とお話してきました。

実はこれには訳がありまして、もし一人でも科学的な素養がある人がスタジオにいると番組が成り立たなくなる可能性が高いのです。
それは、番組では「本当の事を言う人」と「それを誇張する人」という役回りがはっきりしており、混在が不可能な構成になっているからです。

例えば、αリポ酸の回でご説明すると、番組では以下のような流れでαリポ酸と中年太り解消について説明をしていました。
1、まずオークランド小児病院研究所のエイムス博士が映像で登場し、「αリポ酸は人間の体内全ての細胞にある物質で細胞を活性化させる働きがあり、特に細胞内のミトコンドリア(エネルギーを生産する器官)の機能に深く関わっている」とコメント。

2、そして上記について図解で分かりやすく解説。
3、番組はαリポ酸を含むミトコンドリア内の酵素が中年以降減っていくという別のデータを提示。
4、ナレーションにより「中年太りの原因はαリポ酸の減少で、中年太りをストップさせるにはαリポ酸を補うべきだ」と提案。
5、スタジオ内のゲストや司会者が「中年太りをストップさせるにはαリポ酸を補うしかない!」と確認。
こうすると、一見一貫性があるストーリーができあがりますので、視聴者はダイエットに有益な情報を得たような気分になり番組をエンジョイできます。しかし実は、上記については、「3、ミトコンドリア内の酵素が中年以降減っていくという別のデータを提示」というところまでは真実ですが、その後の情報は、上記の事実とダイエットを結びつけるための誇張表現(作り話)なのです。

もし仮にスタジオ内に科学者が一人でもいれば、「それは証明されていない」とか「間違っている」と指摘するでしょう。指摘しなければ彼(彼女)の科学者としての名誉に関わります。そういう理由があり、映像でところどころ科学者を登場させることはしても、スタジオに同席させるわけにはいかないのです。

こうしたマスコミのからくりには本当に注意しなければなりませんね。

あとがき

今年になって治療室のバルコニーのシマトネリコの木にメジロが二三羽訪れるようになりました。独特の啼き声に窓外を見ると愛らしい小鳥が枝をくるくると動き回っています。雀くらいの大きさで鶯色、目の周りの白丸ですぐにメジロと分かります。街中の三階まで遊びに来てくれるとは驚き。
うれしい訪問者です。

(游)

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