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2011年8月29日 (月)

游氣風信 No.194 2006. 9.1

今月号は美顔鍼、アスリート鍼、骨粗しょう症、宮沢賢治について書きました。

美顔鍼

『医道の日本誌』という鍼灸の専門誌が増刊号として鍼による美容特集号を発行しました。
実はわたしも以前から顔に直接鍼をすることで美容に役立てようという試みをしていました。
北米では数年前から美容整形に替わって人気をよんでいると知ったからです。

顔にメスを入れたり異物を挿入しないで手軽にできる美容鍼は環境や自然を重要視する女性から試してみる価値があると判断されたようです。

今流行のロハスな生活を目指す人にはうってつけの方法でしょう。

一般に実施されている美容鍼は特定のツボに鍼を刺入して30分くらい置いておくものです。
しかし私のやり方は独自に開発したもので、本人の希望を聞きながら緻密に鍼をしていきます。
面白いことに体験者は顔の鍼について施術してすぐよりも数日経過した方が顕著な変化を感じられるとおっしゃいます。

顔の若返りを希望される方には是非おすすめいたします。

アスリート鍼

三島治療室の治療代は初回料2000円、治療代5000円と決まっています。

しかし、局所のみの治療を希望される方の局所治療(アスリート鍼)を実施していることはあまり知られていません。

これは、例えば膝の故障のある方で、早く治したいと希望される方の要望に応えて始めたものです。スポーツ傷害で短期間に集中して治療したいという方におすすめです。

毎回5000円では経済的に大変ですがこれならリーズナブルに対応できます。

もっと時間のかかりそうな方は健康保険の鍼をお勧めします。同意書が必要です。同意書は三島治療室にありますので、それを持参して主治医の先生とご相談下さい。

モーニングセミナー「骨粗しょう症」

愛知学院大学で行なわれている月一回の早朝セミナーに行ってきました。今月のテーマは「さりげない日常動作と骨の健康維持」・・骨粗しょう症の予防と日常運動・・講師は中京大学教養部長 鷲見勝博教授。

運動不足は肥満の元

 肥満は高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、更年期障害などの原因になる。さらに高脂血症から動脈硬化、そして虚血性心疾患。これらが互いに影響を与え合って病気になる。さらに外因としてストレスや喫煙もそれらを助長する。

運動不足は筋力の低下の元

筋力低下はバランス能力低下から転倒、骨折そして日常の生活能力の低下をきたす。

骨の代謝

骨は一年ですっかり入れ替わる。運動は筋力を高め骨の代謝を高める。つまり元気のいい骨を作る。
それに対して筋繊維は一生変わらない。だから筋力トレーニングできる。

骨粗しょう症の危険因子

内的要因

ホルモン因子(女性ホルモン 閉経 卵巣機能異常など)

加齢因子(高年齢)

遺伝因子(人種 白人はアジア人より骨が強いなど)

外的要因

運動因子(運動不足)

栄養因子(痩せ 低栄養 ダイエット カルシウム不足など)

生活習慣因子(喫煙 飲酒など)

続発性要因

 ステロイド服用 卵巣摘出 甲状腺機能亢進 糖尿病など

上記に対して努力の余地があるのは運動と栄養。

三十歳までにしっかりカルシウムと運動をしておくことが大切。

高齢者でも努力は有効。諦めない。

更年期と閉経

更年期

 期間 閉経前後5年くらい

 平均的な期間 42歳から55歳

閉経

 更年期に起こる最終月経

 日本人の平均閉経年齢 51歳

運動と骨のリモデリング

1 骨への機械的刺激 骨代謝昂進

2 全身的なカルシウムの恒常性 骨密度維持

1と2によって筋と関節の連携伸展・屈曲+骨への荷重負荷 骨量の維持・向上・減少の抑制

運動は筋力トレーニング、ウォーキング、ストレッチいずれも効果が見られた。但し、種類によって効果の出る場所が異なる。

EBMによる骨折リスク減少に効果的な運動

(EBMとは根拠あるという意味)

1 歩行などの活動性の高い運動:1日30分から60分が骨に効果的

2 週2回筋力を中心とした運動:大腿四頭筋の増強は骨密度増加

3 週1回三年間重量負荷運動プログラム(最大静的運動):骨量に効果なし 動きの無い筋力トレーニングは骨量に影響しない

4 最大心拍数の60%レベルで1日50分、週4回のランニング、歩行運動:骨密度を高める 最大心拍数=220-年齢

5 レジスタンストレーニングの実施:筋量、バランス感覚、身体活動性を高める

転倒・骨粗しょう症予防を目的とした中・高齢者の運動実施を考える

・運動能力の把握

・プログラムの策定

・最低週1から2回、1回30から60分の運動

・家庭や地域で実施可能な運動方法を導入(個人の活動性を考慮する)

・可能であればアドバイザーの常駐する施設を利用する(気分転換)

・柔軟性、筋力、呼吸循環、全身持久性を考慮した運動が望ましい

有酸素運動で脂肪の代謝や女性ホルモンの産出が行なわれる

善玉コレステロールが増える

運動の習慣化への自助努力

(米国国立老化医学研究所指針)

・肥満や糖尿病など慢性疾患のリスクの軽減に効果的な運動は軽度から中程度のかなり少ない運動量でも十分効果が認められる。

・従来の健康保持増進を目的とした運動は心肺能力の向上(有酸素運動・ジョギング・エアロビクスなど)が中心であった。しかし、軽い筋力トレーニングやストレッチを併用すれば慢性疾患の予防や回復により効果的である。

・1回に10分以上の運動を1日に合計30分以上、ほぼ毎日実施すれば十分に効果が期待できる。

運動の強度と血中乳酸濃度

 筋肉痛は乳酸の蓄積。運動抑制物質。筋肉痛がでるまでやらなくても効果がある。

体力増加から病気の予防へ

運動に対する意識を変えると

運動の親近感

生活・仕事などのスケジュール調整が容易

高齢者病後衰弱者でも可能

となる。そのためには

ローインパクトエクササイズ(日常生活の身体活動+軽筋力トレーニング+ストレッチ)が最適である。それによって「生活の自立 骨粗しょう症や病気再発予防」が可能となる。

ふと宮沢賢治について

絶対!ふるさと主義

= 体感☆いわて宮沢賢治が愛した理想郷(イーハトーブ)=

9/3 NHK BS2 午後1・00~3・00

「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」などで知られる作家・宮沢賢治。

今年、生誕110年を迎える。明治29年、岩手県花巻市で生まれた賢治は、実に多彩な顔を持つと言われる。童話作家、音楽家、教師、農業技術者、そしてサラリーマン。

多様な経験を持ち、様々なジャンルに才能をいかんなく発揮した宮沢賢治。

そんな賢治には、今も多くのファンがいる。愛読家は勿論、自然や昆虫の観察が好きだった賢治の足跡を同じように歩くことで、賢治が見た故郷の風景を感じ取ろうというユニークなグループ。また、教鞭をとった高校では、賢治が好んだと言う伝統の鹿(しし)踊りが、今も後輩たちにしっかりと受け継がれている。生誕から110年、今も岩手の人たちを魅了してやまない宮沢賢治。

番組では、賢治を慕う多くの方々に参加して頂きながら、宮沢賢治の尽きることのない魅力を生中継で伝える。

既に放映は終っているようですが、あるところでこんなコピーを見つけました。

文中に今も岩手の人たちを魅了してやまない宮沢賢治・・・とありますが、本当でしょうか。

わたしが岩手を訪問した三十数年前、ふらふら歩いている私に向って、公園の手入れをしているおばさんが語りかけてきました。

「名古屋から?そんな遠くから何しに来たの?こんな何にも無いところに」

「賢治の足跡を訪ねてきたんです」

「何でそんな人を・・・」

と怪訝な顔をされました。

「東京から疎開された高村光太郎先生は立派なのに」

とも続けられました。

これは一人だけではないのです。もちろん賢治を尊敬するという人もいました。当時はまだ賢治の没後四十年ほどでしたから、その謦咳に触れた人も多くいたのです。

「何でそんな人を・・・?」。これは単に同じ故郷の人ということでの韜晦だったのでしょうか。

決してそうは思いません。

団扇太鼓を叩いて早朝の町を歩き回る賢治。

給料全てをレコードにつぎ込む道楽者の賢治。

しょっちゅう東京へ家出している困った放蕩息子。

親に反抗して違う宗教に熱を上げる不孝者。

百姓の真似事をして、結局生涯を親の脛を齧って暮らした無能の男。

実際に身近にした人たちから見ると風変わりで気持ち悪い人という印象が強かったような気がします。少なくともお友達にはなりたくない人だったでしょう。

ですから今も岩手の人たちを魅了してやまない宮沢賢治・・・などと言われるとおやっと首を傾げざるを得ません。

もっとも、賢治が観光資源になると分かってからの扱いは掌を返すように変化したようですが。

実はわたしは長年賢治を読み、彼についての某かの文章を書いてきました。しかし、賢治が作られたイメージでちやほやされている風潮を決して好ましく思ってはいないのです。

賢治の功罪、その生涯の陰翳、毀誉褒貶。それらを深く知りたいのですね。その等身大の実像と思想の深淵を・・・。

彼に影響を与えた歴史と社会、その戦争観や宗教観、皇室観などなど・・・。

そのために岩手を訪問し、賢治を直に知る人とお会いして色々お話を聞く機会もありました。

それが今から十年前、賢治生誕百年の喧騒以来、どうも賢治像が上滑りしているなと感じています。それぞれの人がそれぞれの賢治像を抱いていることにはやぶさかではありませんが、その実体をしっかり見据えた上でそうありたいですね。

作品を味わったり彼の考えに賛同することは大いに結構ですが、無条件で賛同できないこともあります。したがってざっと以下のことなどには注意したいものです。

神格化は避けること。

環境派のシンボルにされないこと。

無農薬野菜販売に利用されないこと。

宗教団体のプロパガンダに用いられないこと。

彼自身ある大東亜共栄圏に巨大な影響を与えた宗教団体の熱烈な信者であり、作品群はその教えを広報流布が目的だったこと。したがって早世しなければ戦争協力者だったかもしれないこと。

賢治の多方面にわたる才能が逆に底の浅さとして喧伝されることは好まないのです。その上で一人一人の賢治を大事にしていけたらいいなと思っています。

マスコミの取り上げ方には特に注意したいですね。

賢治は過去において戦争に利用されたし、戦後の貧窮時代にも民意発揚に利用された過去があります。共産主義者からは叩き台として便利な存在でした。

それらもひっくるめて賢治の特性なのでしょうが、注意は必要だと思います。


まあ、そんなちょっとした思いが番組の今も岩手の人たちを魅了してやまない宮沢賢治・・・というコピーに引っかかったのですね。

あとがき

暑いと思っていたらあっという間に涼しい秋になりました。とくに明け方は油断大敵です。

秋は夏の疲れとついつい口にした冷たい飲食物の影響が現れる季節です。腰を痛めたり、古傷が顔を出したりするので注意が必要。

呼吸器疾患にも気をつけたい季節です。

ご自愛ください。(游)

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