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2011年8月29日 (月)

游氣風信 No.200 2007. 12.5

二つの訃報

 今年もいよいよ押し詰まってきました。『游氣風信』は五月に199号を出して以来、ずっと停滞していましたが、やっと年内に200号を発行することになりました。と言っても、ブログに書いたものを集めただけです。

 今号には二つの訃報があります。
一人は三十年前、東京の経絡指圧創始者増永静人先生のところで一緒に勉強していたイタリア人のマリオさん。拙い英語でコミュニケーションを取りながら一生懸命勉強したことが思い出されます。

そしてもう一人は、鍼灸専門誌『医道の日本』の会長戸部雄一郎先生。奇しくも先生に初めてお会いしたのがマリオと勉強した夏でした。

訃報 イタリア経絡指圧のマリオ氏
旧知のイタリア人指圧指導者マリオ・ヴァトリーニ(Mario Vatrini)さんの死を知りました。

彼と会ったのは今から三十年前、わたしがまだ23歳の頃でした。指圧の勉強のために医王会指圧センターの増永静人先生のところへ行った時、彼も時を同じくしてイタリアからやってきたのです。

日本語のできないマリオは講義の内容をしきりに尋ねてきました。わたしも何とかそれに応えるべく乏しい英単語を頭から搾り出して説明しました。彼に乞われて指圧の資料の英訳もしました。これはとても喜んでくれました。彼の英語は達者なもので、イタリア人なのに英会話学校でアルバイトをしていました。

わたしは夏休みの間だけ滞在しましたが、彼は半年以上滞在したはずです。帰国後何度かイタリアに来るようにとの誘いの手紙をもらいました。あの時イタリアに行っていたら今どうなっていることでしょう。

彼との最後の手紙のやりとりは増永先生の逝去を知らせたものです。彼は「先生は使命を終えたので亡くなったのだろう」と運命論的に惜しんでいました。

それ以後のことは全く分かりませんでしたが、マリオは積極的に指圧の啓蒙に努め、イタリア指圧界の重鎮になっていたようです。彼の訃報がヨーロッパの指圧専門誌に大きく掲載されています。shiatsu-do

歳月は重いものです。彼はわたしより15歳ほど年長だったと記憶しています。マリオ、お疲れ様。マリオの人生に乾杯。

哀悼 戸部雄一郎先生
鍼灸専門誌『医道の日本』最新号で同社会長戸部雄一郎先生がお亡くなりになったという追悼特集を拝見し、大変驚きました。前社長宗一郎先生がお亡くなりになってさほどの年月を数えていません。全く存じ上げなかったのですが、先生は胃がんで長く闘病されていた由、ただただ深く哀悼の意を表すばかりです。

わたしが雄一郎先生に初めてお会いしたのは鍼灸学校一年生。昭和五十一年の夏休みだったと記憶しています。名古屋から一か月上京し、経絡指圧の勉強のため増永静人先生の治療室に出入りしていました。せっかく上京したのだからと医道の日本社新宿支店に書籍を購めにまいりました。その折に応対してくださった方が雄一郎先生でした。

『黄帝内経』や幾つかの書籍をレジに持っていきましたら、色々と話しかけてくださいました。何処から来たのか、何処で勉強しているのか、この本は推奨できるとか・・・。
そして、最後に「自分は本を読んで勉強する学生が大好きだ」とおっしゃられ、今後の勉学に多いなる励ましをいただいたのです。

その後、わたしは『医道の日本』誌に、幾つかの論を発表いたしました。そのご縁で父上の宗一郎先生から何度かお便りをいただき、約十年に亘って「新年のことば」を書く機会もいただきました。さらには五百号記念号の原稿も依頼され、有難く書かせていただいたことも懐かしい思い出です。

雄一郎先生とは新宿支店でお会いしただけで、その後の交流は無かったのですが、『医道の日本』昭和六十年五月号「キネシオ・テーピング法の治療法をめぐって」という座談会に招いていただき、その席で再会いたしました。

その座談会は「キネシオ・テーピングを試みて」という拙論が同誌に掲載され、テーピング創始者加瀬先生から返礼のように「三島先生のキネシオテーピング」という論が掲載された後を受けた企画でした。おそらくわたしがキネシオ・テープの症例報告者第一号だったのでしょう。

新宿の料亭で行われた座談会の後の会食で、雄一郎先生に数年前お会いした話をいたしました。先生は記憶を辿るように遠くを望む目をされながら「そう言えば、増永先生のところで勉強しているという青年と話したことがある、彼が三島先生でしたか」と仰ってくださいました。

それから二十年、治療家としていつも障壁に突き当たっています。技術のこと、患者との対応のこと、経営的なこと。挫けそうになることばかりでした。それでも心の奥底にはあの初学の頃、雄一郎先生から「自分は本を読んで勉強する学生が大好きだ」と励まされた思いが通奏低音のように支えてくれています。

先生、どうぞごゆっくりお休み下さい。



 私的な話しにお付き合いいただいて申し訳ありません。ここからは健康関連の話題です。
風邪の薬物療法の指針、高齢者の活動指針、そして忘れがちなBSE(狂牛病)についてです。


風邪の治療方針
最近、医院で頂く風邪薬の量や注射が減ったそうです。わたしは基本的に風邪薬を飲まな
いのですが、患者さんから色々と似たような話を聞きます。それはどうも以下のような治
療指針が学会から出ているからのようです。参考にしてください。

成人気道感染症診療の基本的考え方
日本呼吸器学会

風邪の治療方針 
1、風邪はほとんど自然に治るもので、風邪薬で治るものではない。
2、風邪に効く抗ウイルス薬はない。
3、抗生物質は風邪に直接効くものではない。
4、抗生物質を頻用すると、下痢やアレルギーなどの副作用がある。 
5、抗生物質を頻用すると、薬が効かない薬剤耐性菌が出現する。 
6、市販の風邪薬は、症状を緩和する対症療法にすぎない。 
7、市販の風邪薬の広告は、風邪に対する過剰な治療を推奨するかのような印象を与えている。 
8、風邪による発熱は、身体がウイルスと戦っている免疫反応で、ウイルスが増殖しがたい環
境を作っている。むやみに解熱剤を用いない。9、いかなる薬物にも副作用が起こり得ると考
え、薬を服用した場合は薬物名と量を記録しておく。
以上

8番の発熱の問題は重要です。風邪の菌が熱を作るのではなく、菌をやっつけるために身体が熱を発しているということ。ですからやたらに解熱することは避けたほうがいいということ
です。


元気で長生き
老研式活動能力指標

1.バスや電車を使って一人で外出できますか?
2.日用品の買い物ができますか?
3.自分で食事の用意ができますか?
4.請求書の支払いができますか?
5.銀行預金、郵便貯金の出し入れが自分でできますか?
6.年金などの書類が書けますか?
7.新聞を読んでいますか?
8.本を読んでいますか?
9.健康についての記事や番組に関心がありますか?
10.友達の家を訪ねることがありますか?
11.家族や友人の相談にのることがありますか?
12.病人を見舞うことができますか?
13.若い人に自分からはなしかけることはありますか?

1~5は活動的な日常生活を送るための動作能力
6~9は余暇や創作など積極的な知的活動能力
10~13は地域で社会的な役割を果たす能力

 どうでしょう。ご自身や周囲の方の状態を照らし合わせてみてください。

元気で長生きの十か条
1.血清アルブミン値が高い
2.血清コレステロール値が高過ぎず低過ぎず
3.足が丈夫である
4.主観的健康感がよい
5.短期の記憶力がよい
6.肥り方は中くらい
7.タバコは吸わない
8.お酒は飲み過ぎない
9.血圧は高過ぎず低過ぎず
10.社会参加が活発である
(東京都老人総合研究所が65歳以上の幅広い年齢層の元気で生活が自立している人たちの長生きの条件を分
析した結果に基づく)

 元気で長生きの方の状態を統計調査したしたところ、以上のような結果が出たのです。血清アルブミンはたんぱく質で栄養状態を表します。コレステロールも低すぎると危険だそうです。
栄養をしっかり摂取し、外出し、社会参加するほど元気な生活が過ごせるので心がけてください。



BSE(狂牛病)・・・過去の話になりました。

狂牛病の全頭検査が無意味であることが毎日新聞に書かれていました。国民を欺く無駄な検査をやって税金を浪費することはもう止めるべきでしょう。

以前読んだある記事には日本の牛は国際的には三段階のうちの三番目、つまり最も安心できない国に分類されていると書かれていました。それに対して輸入を拒否していたアメリカ産は二番目に安全と分類。一番安全なのはオーストラリアなどまだ狂牛病が発生していない国。

 意外なことでしょうが、非科学的理由でアメリカ産の牛の輸入を拒否してきた政府は批判されても仕方ありません。幼い牛を検査してもBSEを発見することは困難である上に、日本の牛は処理方法に非合理性があり危険なのだそうです。


介護予防運動指導員

東京都老人総合研究所が認定している「介護予防運動指導員」に合格しました。これは特定
高齢者(65歳以上の虚弱高齢者)が、一日でも長く自立した生活を送れるように指導する
ものです。

受講内容は
介護予防概論
介護予防評価学
介護予防統計学
行動科学概論
リスクマネジメント
高齢者筋力向上トレーニング特論
高齢者筋力向上トレーニング実践
転倒予防特論
失禁予防特論
低栄養予防特論
口腔機能向上特論
認知症予防特論

以上を総花的に学習したので知識を齧っただけです。これから実践しつつ深めて行こうと思っています。


あとがき

 サボり癖がつくと困ったものでずるずると月日だけが過ぎ去っていきます。今年の前半で二百号記念号が出せると踏んでいたのですがとうとう十二月まで怠けてしまいました。それで特に記念的なことは書きません。

 今年の六月と七月は介護予防運動指導員の勉強にかなりエネルギーを使いました。いい勉強ができたと思っています。いずれその成果を書いていきます。

また、所属している俳句結社『藍生』には「俳句とからだ」という小論を連載しています。
先月で第15回でした。いつまで続くのかは編集部にお任せです。

少し早いですが良いお年を。
(游)

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