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2011年6月22日 (水)

游氣風信 No88「体に良い?悪い?」

三島治療室便り'97,4,1

 

《游々雑感》

体に良い?悪い?

 時代の先端情報を身近な商品などで紹介する人気雑誌DIME(小学館発行)におもしろい記事が掲載されていました。無断で引用してしまいましょう。

“抗ガン”日常食品リスト
DIME 4/3 1997より要約引用

 「アメリカでは、ガン抑制に効果があると認められた食品に、“ガンのリスクが低減する効果を持つ”というラベルを付けての販売が許されています」(京都府立医科大学教授・西野輔翼氏)
 抑制効果のある食品を食べることが、ガン予防につながるという考え方だ。(中略)
ただし、過信は禁物。
 「どの研究も立証されていないので、ある種類の食品ばかりを食べるのはむしろ危険です」(前出・西野氏)
 バランスを考えた上で、多くの食品群を品をかえて食べることが大前提だ。
 「日本が世界でも際だつ長寿国となったのは、和食を組み合わせた多様な食生活があったからだと思います」(北里大学衛生学部教授・山本一郎氏)

というコメントとともに次の身近な食品がガン抑制作用があると紹介されていました。


コーヒー(口腔・大腸・膀胱・すい臓ガン)
 コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸やカテキンがガン抑制。焙煎で壊れるのでコーヒー中には微量。コーヒーには他に100種類以上の善玉物質。
昆布(結腸・胃ガン)
 アルギン酸などの食物繊維。ビタミン、ミネラル、カロチンを多く含む。フコイダンという物質に強い制ガン作用。動脈硬化の予防。

トマト(肝臓・大腸・前立腺ガン)
 赤い色素リコピンはβカロチンより強い制ガン作用。成人病や痴呆症の予防。

きのこ類(部位未特定)
 食物繊維が多い。ノンカロリー。しめじには抗酸化物質があり強い制ガン作用。

みそ(胃・大腸・肝臓ガン)
 フラボノイドが肝臓ガンに効果的。胃や大腸でもガンの発生を抑制。減塩が良い。


カレー(ターメリック)(皮膚・胃・大腸ガン)
 ターメリックという黄色いスパイスのクルクミンがガン抑制。タクアンにもある。


ビール(部位未特定)
 ホップにガン予防効果が予想される。動物実験の前段階だからこれからの研究を待つが仮定的に効果が期待される。

魚(大腸ガン)
 頭が良くなると評判のDHAにガン予防作用。

バナナ(部位未特定)
 マウス(ねずみ)の実験では白血球を強くし免疫力を高める。ビタミンC多い。

緑茶(大腸・肺・すい臓・胃ガン)
 渋味のカテキンに制ガン作用。食べた方が効果的。

解説
魚のコゲやワラビ・ゼンマイなどに含まれる物質で発ガン物質と称されるものの多くが、一生どころか七生かかっても食べ切れない量を短期間に実験動物の胃袋に無理やり押し込んでガンを作り上げたものです。
 ワラビや魚のコゲにも発ガン物質があるという研究は、食品添加物の発ガン性が騒がれたとき、自然物にも発ガン物質はあるのだという研究結果が欲しかったさる筋のためになされたという説もありますがこれは風説でしょう。

 魚などのタンパク質のおこげを怖がる必要のないことは講談社の科学新書シリーズ・ブルーバックス「人はなぜがんになるのか(永田親義)」に詳しく書かれていますから興味のある方はどうぞ。永田先生はノーベル賞の福井謙一博士の弟子で元国立がんセンター生物物理部長。タバコの害がニコチンでなく過酸化水素であることを確認したことで知られています。

 科学は作為的に状況を操作することで意図的な結果を生み出すことも可能という怖い側面は否めません。その結果だけを取り上げてゼンマイやワラビは「危険!危険!」と騒いでいてもしょうがありません。少なくとも直接死にむすびつくお餅やフグよりは安全でしょう。それだからといって誰もフグやお餅を食べるのは止めません。
 それと同様に制ガン物質もどの程度の現実的効果があるのかは不明ですからこのレポートを読んで一喜一憂しないでください。
 食事はおいしくいただくに限ります。これらの制ガン物質の存在は少なくともコーヒーやビールを健康に悪いと恐る恐る飲んでいる人にとっては朗報でしょう。

 動脈硬化や肺ガン、喉頭ガン、心臓病などの原因として悪の権化のように言われるタバコでも、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病などには吸わない人よりかかりにくいという報告があります。それはどうもニコチンの作用のようです。

 「俺はヘビースモーカーなのにパーキンソン病に罹った」
と新聞に連載していた老いを楽しんでいる風体の作家山田風太郎のケースもありますから、どうなるのかははっきりわかりません。
 タバコは案外ストレス発散に役立っているのかも知れませんが、体に悪いと思いながら吸ってはかえってストレスの元ですからつまらないですね。ただし、わたしは吸いませんから近くで吸われると煙くて閉口します。そういう時は「タバコは吸ってもかまいませんから、どうぞ吐かないでください」
とやんわりとお願いしていますが。

 今時の研究ではその人の遺伝子の中に、諸悪の根源(体を酸化=老化させたり、遺伝子情報を狂わせてガンを作る)である活性酸素を除去する酵素を作る能力が決まっていると言います。ですから、その能力の強い人はタバコをスパスパ楽しみながら長生きできるが、活性酸素除去酵素の生産能力の弱い人は健康に気を使ってタバコに限らず体に悪いと言うものをことごとく排除しても病気になってしまうとされています。

 活性酸素の除去を行うのは体内で生産される酵素だけでなく、食べ物の中のビタミンやミネラルその他の微量な物質と言うことも分かってきています。漢方薬の研究もこの方向からされているそうです。
 しかし食べ物は栄養素だけの問題ではありません。同じ栄養価のものを食べるにしても、家族団欒で楽しく美味しく食べるとの、一人わびしく食べたり、親から試験の成績をなじられながら食べたりするのでは吸収に大きな変化もでてきますから、食べ物の中の物質だけにきゅうきゅうとするのは大いに考え物です。

 アルツハイマーにアルミが悪いと脅して高いステンレスの鍋を売り付けるマルチまがい商法がありますが、胃薬や頭痛薬には確実に脳に到達するアルミニウムが含まれていますから、こちらを注意した方が良いとも言われます。常用している方は薬のラベルをよく見てください。

 いずれにしても情報は大切ですが情報に飲み込まれないことはもっと大切・・・と言いながらこういう怪しい情報を毎月印刷して無理やり押し付ける《游氣風信》て何でしょうね。困ったものです。

 ここまで書いたとき、全く偶然ですが最近の日経新聞によると酒の常用も体に良いとの記事が載っていました。
 フランスの研究グループが、一日グラス3・4杯のワインの常飲者はアルツハイマーに罹る率が全く飲まない人の4分の1だという発表をしたのです。今後その他のアルコールとの比較をするそうです(1997/3/25夕刊)。
 研究者グループがワインの名産地にあるボルドー大学というのはちょっと気になるところですが愛飲家には大っぴらに飲む口実ができてうれしい報告ですね。さらに普通の痴呆症の発生率も5分の1だとか。
 タバコやアルコールも一方的な悪役から脱却しつつあるようです。わたしはお酒はたまに飲む程度ですからワインの恩寵にあずかることはないでしょう。

 以前、学者先生諸氏は発ガン物質を暴き出すのに一生懸命でしたが、最近は制ガン物質の発見に忙しそうです。その方がずっと夢はありますね。
 先のボルドーの学者さん曰く
「適度の飲酒を習慣としている高齢者に、酒をやめなさいという医学的な根拠も無い」

判断はこちらに投げられた訳です。

ホームページ

 千葉県の鍼灸師酒井茂一さんはコンピューターに詳しいことで知られています。鍼灸の治療およびカルテの整理にコンピューターをフルに利用し、カルテ管理のためのソフトまで作ってしまうという専門家。アメリカの権威ある雑誌ニューズウイークに大きく紹介されたこともあります。
 酒井さんはインターネットに鍼灸のすばらしいホームページを公開していますが、わたしのためにもホームページを作ってくださるということです。ありがたい。そこで自己PRの文章を考えたのが次のものです。そのまま載るだけのスペースがあるか皆目分かりませんがとりあえず文案を紹介しましょう。

三島治療室のご案内

心ゆくまで楽しみながら暮らしたい。
幸せで長生きしたい。
生き甲斐のある人生を送りたい。
        ・・・それが多くの人の素朴な願いだと思います。

 わたしたちの暮らしは快適な環境(衣食住)と健やかで康らかな身体(こころとからだ)によって支えられています。わたしはその身体にとことんこだわってみたいと思い、東洋医療の仕事を選びました。

身体調整
  治療・・・身体の不調に苦しむ人
  養生・・・日ごろの体調を維持したい人
  鍛練・・・よりパワフルな行動力を求める人

 三島治療室では、治療・養生・鍛練の三者を統合した身体調整を、「氣」に基づく東洋的な身体観と合理主義による西洋的な科学の成果のもとに、鍼・灸・指圧・分子栄養学という技法で実現しようと努力しています。

 鍼灸などの東洋医療は古臭い、非科学的な時代遅れのものと思われるかもしれません。確かに、医療の現場では薬剤と手術が華々しく活躍しています。
 しかし、細菌による病気が医学の進歩と社会インフラの整備からほとんど駆逐された今だからこそ、かえって身体のちょっとした不調がクローズアップされてきました。さらにそこに追い打ちをかけるような仕事の複雑化と人間関係の多様化。硬直し無気質化した社会・・・。
 現代社会に生きる人として宿命的な心身の異常や違和感、疲弊や硬直に対して術者と患者が一体となって手を携えるようにバランスを回復し〈癒す〉のが東洋医療です。

 こうした理由から鍼灸・指圧は、今日、新たな使命を取り戻したと言っても過言ではありません。

 ちょっと考えてみて下さい。
 病院で治療の主力となる薬・手術と、東洋医療の代表的な鍼灸・指圧とでは外見的な療方法は全く異なります。しかし身体の中で“治ろう”とする生命力自体(自然治癒力)は等しく共通のものであるはずです。外見的な方法の差異にこだわって、身体の中で燃えさかる命そのものを見ないのは残念なことでしょう。命そのものを直視
する・・それが鍼灸に代表される東洋医療なのです。

 一刻を争う病気や怪我はそのための最適の方法に委ねるべきですが、そうでない症状はぜひ一度、身体全体の調整をしながら環境に和し、自然治癒力に任せる東洋医療をお試しになることを強くお勧めします。

 「鍼は感染が怖いし、灸は跡がきたなくて嫌!」
という心配があります。しかしご安心ください。
 鍼は使い捨て。鍼も鍼皿も鍼管も毎回新しいものを使用し、指手の消毒に留意しますから衛生的な心配は全くありません。
 灸は跡が残らないよう工夫してあります。灸の嫌な人には代替法が用意されます。

《後記》

 地元中京大中京高校が甲子園で活躍しています。昨日の段階でベスト4決定。
 今池の小さな治療室を買ったばかりの頃、野球小僧の高橋源一郎少年はお母さんと一緒にやってきました。小学校の一年生位です。彼は突如わたしに向かって
「おじさん、キャッチして!」
と、ミカンを投げてきました。受け損ねたミカンは壁に当たり、しずくが飛び散り、ピカピカのマンションの資産価値を大きく損ねたのです。
 それから十年、源一郎少年はたくましい高校球児になりました。何回か身体調整にチームメイトを伴ってやって来ました。甲子園に出発するちょっと前にもやって来てチームメイトの痛みや疲労をとるためにとビタミンマッサージオイルをどっさり購入していったのです。
 中京大中京キャプテンとしてにこやかにプレーをする源一郎君を見て、ふとマンションの壁に目をやりましたら、まだかすかにシミらしきものが残っていました。
(游)

(この少年。その大会で準優勝。その後雌伏を経て平成22年秋から中京大中京高校野球部監督になっています)


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