三島治療室便り'98,12,1
東洋医療の根幹は養生です。
今日とは考え方が大分変ってしまいましたが、記録としてあまり手を加えないで掲載します。
養生
三島治療室便り《游氣風信》では最近ちっとも健康情報を取り上げないではないか。これでは単なる気ままな個人紙に過ぎない。健康に役に立つことを書かないでは、とうてい「治療室便り」とは言えないのではないか。
と、お叱りを受けることがあります。
いや、そうじゃないんです。
病気の人は症状を苦にするのがそもそも病気の始まり。むしろ病中こそ病気を忘れたほうがいいのです。むろんそれはとても難しい。それは重々承知しています。しかし難しいからこそ、こんな書き散らした文書を読んでいただいて、少しでも病気を忘れていただこうと腐心しているのです・・・とはわたしの弁明。
大体《游氣風信》の「游」とはふわふわ水に浮いているマンボウかクラゲのような状態を意味しますし、「氣」は変幻自在、「形なくして勢い」ありというものごとの根源的存在。
「游氣」とは以上を踏まえたわたしの造語。
さらに「風信」は「風の便り」。
つまり《游氣風信》とは「ふわふわ揺蕩(たゆた)うような風の便り」なのです。
早い話が何から何まで「いい加減」ということです。しかし「いい加減」はまた「好い加減」でもあります。どちらに転ぶか。それは読み手にお任せしましょう。
この通信の名称《游氣風信》は以上を踏まえて、さまざまな偶然から奇跡的に得たこの愛しい「いのち」の本来あるべき健やかな状態を体現したい、現実に拘泥しないでもっといきいきと暮らしていきたい
という意味で作りました。
とは言うものの実際にどうすれば健康に役立つのか、毎日を気楽に暮らすことができるのかという情報も必要でしょう。そんな人々の思いを反映して世の中には健康情報と称するものはゴマンとあり、毎月発行の健康情報誌も十誌に余る盛況振。新聞でもテレビでも毎日「健康」に役に立つ記事や番組をやっています。
それ故に、あえて健康情報などここで書かなくてもいいのですが、たまには治療院らしく養生として使えそうなものを書き出してみます。
ただし、以下は丁寧にまとめ上げたものではなく、今、ワープロに向かって思いつくままに書き綴っているもです。ここでも先程のクラゲのようないい加減さが露呈してしまいました。
これからも折に触れて丹念に修正加筆しながら、将来はもっときちんとしたものに仕上げたいと思っています。
今回は個々の疾患治療に関しては触れませんでした。つまり治療でなく養生に的を絞ってあります。
序論
何事の最初は概論が必要です。ものの考え方のまとめと方向づけです。ざっと思いつくまま箇条書きします。
1)以下に出てくる肝・腎・胃・大腸などの内臓名は現代医学のものとは概念が全く異なることを承知の上で一つの符丁としてお読みください。つまり漢方で言うところの「肝」と現代医学の「肝臓」とは名前が似ていても全く異なるものなのです。
そもそもは江戸時代に蘭方(オランダ)医学が入ってきた時、漢方の五臓六腑の呼び名を無理やり西洋医学の臓器名に翻訳したのが混乱の始まり。そのまま今日に至っています。
2)もともと漢方的発想には良い悪いという二分法はありません。したがって健康と病気という対立概念もありません。あらゆる物事はすべからくひとつの過程的状態と考えます。健康と病気の間にも明確な境界線はありません。
人生は絶えずどちらかに揺れながら過ぎるのが普通です。
3)健康を目的とするのは金銭を目的とするのと同じく、人生の本来の意味を見失わせます。一人一人の人生の目的のために健康である方が望ましいとするのがわたしたちの考えです。それは事を成すには資金がいると同じです。
書生っぽい理想論と言えばそれまでですが理想無くして何の人生でしょう。
4)不都合に固定化された状態を障害と言いますが、そうした人たちの存在自体が多くの人に人生の意味を考えさせる契機となります。その意味では彼らの存在自体がすぐれて社会性を有しているのです。
その方たちとどう対応していくか。
自分がそうなったらどうするか。
老いもまたひとつの類似した現象です。
一人一人が厳しく問い詰めなければならない問題でしょう。
5)本当に医療機関へ出向かなければならない疾患はそれほど多くはないはずです。例えば風邪は外的環境の変化から生じた内的環境のずれを回復しようとする極めて自然な反応であって病気ではありません。安静にして体の治癒力にゆだねておけばいい段階ですぐに注射をしたり薬を飲んだりするのは愚かしいものです。
仕事や学校を休めないから早く治したいというのは病気の問題ではなく社会的問題に入ります。
6)疾患や症状があっても即病気とは限りません。それらが自分の生き方を阻害するまでになった時病気と言います。加齢によって阻害されるならそれは老いです。
養生各論
栄養
とりあえずその民族の伝統食を食べることは無難な選択です。今日まで民族がその食事で生き延びてきたということは気候や土地にあっているからです。
しかし今日では伝統食は農薬や食品添加物、公害、栽培方法の劇的変化で実際に作ることは困難です。しかも実情に合わなくなってきました。
人には体重の1000分の1グラムのタンパク質が必要だと言われています。60キログラムの人なら60グラム。運動選手はもっと多く必要となります。これは結構な量で、肉や穀物や魚などの普通食から摂取するのは大変です。
目安としては最高に優れたタンパク質である卵の黄身が一個で約6~8グラム。
牛乳200CCで6グラム。肉や魚100グラムで20グラム。ご飯1ぜんで5グラム。大体このように摂取できます。これを基準に考えるといいでしょう。
ただし、タンパク質の質を評価する物差しとしてプロテインスコアというものがあります。スコアが100のものが最高のタンパク質。天然の食品では卵の黄身とイワシが100です。必須アミノ酸が全てバランスよく存在しているのが100。大豆や牛乳は70台。大豆とお米の組み合わせは100に近づけます。
タンパク質は構造的に体を作る材料であり、同時に機能を司る酵素の材料です。タンパク質にビタミンやミネラルが協力して酵素になります。酵素は生物学用語で化学で言うところの触媒のことです。体のさまざまな反応は全てこの酵素があるお陰で平熱(およそ36.5度)という化学的には極めて低い熱で効率的に行われます。
また酵素は遺伝子情報を正確に取り出すために不可欠です。
健康のために注意したいことはできるだけ体を錆びさせないこと。あらゆる活動は酸素消費の結果として体を錆びさせます。
つまり体の活動は酸素をともなった化学反応を行いますから、結果として酸化が起こるのです。それを簡単に言えば錆びるということです。金属の酸化がすなわち錆び。人体の老化や炎症も同じことです。
体の錆び(老化)には活性酸素がかかわります。ビタミンのEやCやA、ミネラルのセレニウム、イチョウの緑葉のフラボノイドなどがその予防になると言われています。漢方薬の効果もこの方面から研究されています。
現代の栄養学では、人体に必要な栄養素が40種ほどあるとしています。ビタミン17種、ミネラル15種、アミノ酸8種です。それ以外にも必要なものは一杯ありますが体内で合成されたり、比較的摂取が容易なもので普通の食事で賄えるものです。
アメリカの栄養学者は普通の食事以外にこれらの含まれた栄養補完食品をとりあえず必要量摂取しておくことが保険がわりになると勧めています。
また近年、機能性食品と称する概念が認められました。これは直接の栄養ではしないが、食物繊維のように食物の中には体に有用な成分もたくさんあることが分かってきたのです。
これからも食品や栄養素の研究は進んでいくことでしょう。
しかし食事は栄養素を取るだけでなく、美味しいという感性を満足させるものでもあり、家族や仲間との団欒の場でもあります。こうした充実感は健康的な明るい生活には不可欠です。
免疫力
免疫とは体内に異種タンパクが侵入したとき、それが異物であることを判断し、攻撃し、その異種タンパク情報を記憶し、次回からの侵入には速やかに対応するという、いわゆる身体防衛作用のことです。
鍼や灸の効果を免疫から考える研究があります。
特にツボにこだわらなくても、鍼や灸をすると血液中の免疫物質が増えるというものです。これを鍼灸の一般効果と呼びます。らを強化することで感染からの防衛力が増強します。
感染は悪いことばかりではありません。生物は細菌やウイルスなどと熾烈な関係を持ちながら今日の形態を獲得しました。軽い感染は免疫機構を刺激し免疫力を起爆剤のように活性化させます。軽い風邪は免疫力を高めるという有効な働きをしてくれるのです。すぐに薬で症状を押さえ付けるのは健康的ではありません。
また、ガン細胞なども毎日体内のどこかで芽を出していますが、免疫で退治しています。ちょっとした風邪はその力に拍車をかける有用な作用と考えられます。今日、医師が以前ほど風邪に対して簡単に注射をしないで様子を見るのはこのことがはっきり分かってきたからです。
現代の先端医療でも免疫を高めることでガンを駆逐しよう、共存しようとする研究が進められています。
しかし体の仕組みも完全ではなく、時々自分自身の体を異種と勘違いして攻撃し続ける自己免疫疾患というやっかいな病気もあります。リウマチやアレルギー疾患などがその代表でしょう。
細菌やバクテリアと戦うのは白血球やリンパで武器は活性酸素です。ところがその武器は平民(自分の細胞)までも傷つけてしまいます。その対策としてSODという酵素が働きますが、40歳を過ぎると途端にSODの製造能力が低下してしまいます。ガンもそれに比例して増えていきます。
SODを補うためにビタミンA・C・Eなどが有効と言われています。緑黄色野菜が叫ばれる理由です。
自律神経系
自律神経系はわたしたちの意識にかかわりなく心臓や肺や胃や肝臓など全身を支配して無意識的に生命保持のために作用している神経系統のことです。以前は植物神経とも呼ばれました。植物人間とはこの神経の働きのみで生きている人のことです。
それに対して、自分で意識的に操作出来る神経系統を脳-脊髄神経と言います。一般的には運動神経(本来は感覚神経との対概念)といった方が分かりやすいでしょう。昔は動物神経と呼ばれました。運動神経は反復練習によって発達して運動能力が高まることはよくご存じでしょう。
具体的に説明すると、机の上にリンゴがあるとします。リンゴを見つけて食べようと手を伸ばし、リンゴをつかみ、口に運び、口を開けて、噛み、飲み込むまでは意識的な動作です。しかし口に入れてから唾液が出たり、飲み込んだ後、食道から胃腸を経て大腸まで運ばれ、途中、消化酵素が分泌され、胃袋や腸が動くなどは意識しなくても体が勝手にやってくれます。逆に意識して胃袋を止めることなどはできません。これらが自律神経の働きなのです。心臓の拍動も尿の生成も、自律神経のコントロール下にあります。
呼吸は普段は無意識的な自律神経の作用ですが、意識的に遅速や強弱をつけることが可能です。肛門も意識的にコントロールできます。肛門のコントロールが完全に無意識にゆだねられたら垂れ流しになって困ることになってしまいます。赤ん坊は全くその通りですが社会的に容認されていますから問題ありませんが、少し成長した場合は問題になります。
呼吸法は呼吸が自律神経と脳-脊髄神経の両方の影響下にあることを利用して自律神経調整に役立てているわけです。
自律神経には二つあります。交感神経と副交感神経です。それぞれの器官に両者が関与しおおむね拮抗的(一方が働けば一方が休む)に作用します。
このバランスがよければ体調は極めて良好ですが、うまくいかないと自律神経失調の状態になってしまいます。それで諸器官に異常は見当たらないにもかかわらず不調を訴えると医師から自律神経失調症という病名が付けらることになるのです。
脊柱に沿った筋肉(脊柱起立筋)には「交感神経」の反応がでます。神経が脊髄から別れて内臓などに分布する出口だからです。内臓情報の入り口でもあります。
首や仙骨周辺には「副交感神経」の反応がでます。神経の出入り口だからです。
そこで頭蓋骨の下から首や背骨の両脇、仙骨や臀部を刺激して自律神経のバランスを調えます。指圧や鍼の重要拠点になるのです。
また全身をゆったりと深く静かに指圧するととてもリラックスできます。このリラックスは心地よさが生み出すものです。快い感覚は脳の脳下垂体などを刺激して自律神経やホルモンに影響を与えます。
また、静かな安定圧は母親の胎内にいたころの安心感に結び付き、深いリラックスを生み出します。
鍼で全身調整することも筋膜や筋肉を緩めるので有効です。
先程述べたように、深いリラックスには深いゆったりとした呼吸が必要です。
そのとき意識的に筋肉の緊張をゆるめる体操をすると効果的。ヨガやストレッチがそれです。
繰り返しになりますが、呼吸は自律神経と脳-脊髄神経の両方にかかわりますから、呼吸法が自律神経調整法になるのです。
ストレス
ストレスは外的環境からの刺激に体が対応する際の機能的変化のことです。
その刺激(ストレッサー)には物理的・化学的・生物的・社会的なものなどがあります。
一般にストレスというと人間関係や心の悩みのことを考えますが、疲労、気候の寒暖、喜び過ぎ、怠け過ぎ、楽しくない作業、食べ過ぎ、我慢、先の見えない苦労、食品添加物、ばい菌など全てストレスになります。要するにありとあらゆる心身の刺激に対して反応することをストレスと呼び、その刺激をストレッサーと言います。
少々のストレスは生きる励みとなり、生命力を活性化します。
この「少々」の量や質に個人差があり、ある人はものすごい緊張を喜び、別の人は些細な刺激で苦しみます。
ストレスは脳下垂体(神経系とホルモン系の橋渡しをする)や副腎のホルモンに深くかかわります。
副腎の作用は大量のビタミンCを消費しますから、積極的に補給しなければなりません。またホルモンを合成する際、大量の活性酸素も発生しますから二重の意味でビタミンCが要ります。ただしCの大量摂取は胃の中に活性酸素を生じますからビタミンEも同時に摂しておく方がいいそうです。
副腎皮質ホルモン剤を用いて効果の上がる病気には免疫の問題が大きいはずです。
以上の免疫・自律神経・ストレスは皆深くかかわっています。同時に人生観や心の持ち方も大変重要です。
身体各部位
毛髪
毛根のためには弱酸性のシャンプーがいいようです。
毛根の栄養促進にビタミンEオイルによる頭皮マッサージ。
漢方的には腎を酷使しないことも大切。冷えや睡眠不足、過度のストレスやセックス過多は危険因子。したがってバイアグラは逆効果。
皮膚
皮膚の健康のためには紫外線を避けてあとはあまり清潔にし過ぎないようにして放っておけばいいですが、女性は美しく見せかけるために化粧という徒労をしなければならないので、そこから先はお化粧品の会社と相談していただきましょう。
紫外線の害(シミ・ソバカス。甚だしきは皮膚がん)はビタミンCが防ぎます。最近の化粧品にはビタミンCが使われているようです。オゾン層破壊が進むと紫外線の害が深刻になります。
お肌の潤いのためにはビタミンAの保水性。
皮膚の弾力のためにはコラーゲンですがこれはタンパク質とビタミンCで作られます。
栄養補給の血行促進はビタミンE。
漢方的には皮膚は肺の影響かにあります。深い落ち着いた呼吸が皮膚を守ります。
息を詰めるような環境にはできるだけ身を置かないで、胸や背中、肋骨部の筋肉を緩めておくことが大切。
目
光が入ってくる目のレンズは最も紫外線の影響を受けるところです。ビタミンCが大量に必要になります。眼科でもらう点眼薬にもCが入っています。
網膜はビタミンAの大量に存在する所。湿気のあるところはビタミンAが必要だと覚えておいてください。つまり粘膜や関節軟骨など。ただしくどいようですがどこでもタンパク質あってのビタミンであることにお忘れなく。
漢方的には肝機能。大腿内側部の指圧が有効。足の親指も大切。
眼窩(目のくぼみ)の骨を上は上方に指圧、下は下方に指圧、眼窩のくぼみを押し広げるようにします。あと眼窩を内から外へさすり、こめかみを揉むように指圧しておきます。
目のストレッチも有効です。目玉を思いっきり左右上下に動かし、大きくゆっくりぐるりぐるりと回すと目のまわりのリンパの循環を助け、眼球を動かす筋肉の疲労回復に役立ちます。
そのあと自分の鼻を見て、壁を見て、窓の外を見て、遠くの雲を見てという具合に次第に目線を遠くに放ってぼーっとすることでレンズの焦点を調整する筋肉のストレッチをします。次に逆に順番に戻ってくるのもいいでしょう。
拳を軽く握って手首をぐるぐる回すと目の緊張がゆるみます。
これらの眼の体操はパソコンによる眼精疲労や仮性近視の予防に有効です。
耳
耳は外耳・中耳・内耳から成り立っています。働きは「聞く」ことだけでなく「平衡感覚」も司っています。具合が悪くなるとめまいや吐き気をもよおすのはこのためです。
いずれにしても血行をよくすることが大切。ビタミンEに期待しましょう。
漢方的には腎が関係します。冷え・心身の過労が禁物。
冷えに関しては「冷え取り健康法 進藤義晴著 農文協刊」が参考になります。
養生としては耳たぶマッサージが有効。耳たぶを上は上に、下は下に、後ろは後ろに刺激的に引っ張るようにこすります。
耳の周辺の血行をよくして、年を取って耳が遠くなることや耳鳴りを予防します。
首
首は7つの頸椎と複雑に入り組んだ筋肉、筋肉や骨の隙間を走る神経や血管、食道や気管という複雑な構造をしています。
また首は重い頭を支えていますから、姿勢の善し悪しが筋緊張に随分影響します。
頭脳労働の影響も受けやすい部位で、精神疲労や目のストレスも首こりを発生させます。
頭をアドバルーンのように空中に浮いているものだとイメージすると首と背骨が自然に伸びて緊張のとれたよい姿勢になるでしょう。
顎の噛み合わせの関節の緊張も首のこりを作ります。ときどき大きく口を開いて咬む筋肉をストレッチしましょう。仕事中はいつも知らず知らずに噛み締めていますから。
首のストレッチは息を吐きながら頭の重さを利用してゆっくりうなだれる、左に傾げる、右に傾げる、天井を見る(無理をしない)、左を振り返る、右を振り返るという具合に行います。
ゆっくりのびのびリラックスして筋肉の伸び具合を感じながらすることが肝要。いずれも普通呼吸で10秒から20秒伸ばします。
そのとき、腕はだらりと投げ捨てるように肩からぶら下げておきます。
自分で自分の首の指圧は難しいのでマッサージをします。右手のひらで左の首をゆっくり撫で下ろします。こりをじっくり感じながら溶かす気持ちで。右側は左の手で。
歯
歯周病の予防は堅いものをよく噛んで食べることと、しっかりブラッシングすることです。歯垢は24時間で虫歯菌の住処になるそうですから、一日に最低一回はていねいにブラッシングすることです。
知り合いの歯科衛生士は「歯を磨く」と言わないで「歯を洗う」と表現します。洗うつもりで小さめの歯ブラシを用いて一本一本まんべんなくこすっていきます。
ブラッシングする場所にこだわらず、テレビを見ながらでも、湯船の中でもいいので実行することです。一回20から30分。時間が作れないときは小分けにして総合で30分。洗面所でやろうとするとどうしてもおっくうになりがちです
から。
ブラシの幅は歯2枚以下がいいようです。子供用がちょうどいいのです。大人用は歯のすみずみに届きません。テレビで宣伝しているようなこったものでなくごくありきたりの歯ブラシで結構。
フロスや歯間ブラシも必要になります。詳細は歯医者さんで指導を受けるといいでしょう。
歯と歯茎の間のポケットという空間に歯石ができると歯周病(歯槽膿漏など)になりやすいですからていねいに。
ブラッシングして出血したらうっ血しているところが見つかったということで優しくていねいに洗ってください。
歯茎の具合の悪い人は歯茎の指圧も有効です。挟むように指圧すると血膿が絞り出されます。
肩
肩も首と同じくこりやすいところです。
深い、ゆったりとした呼吸で肋骨をストレッチしましょう。自分の胴体が風船になったイメージです。何より吐き出すことが基本です。
腹式呼吸のできる人はまず吐ききり、腹だけでなく腰や脇腹にもしっかり吸い込みます。次にそのまま胸に吸い上げ最後は妊婦のように肩呼吸。こうすると深い呼吸になります。
息を吐くときは呼吸の「呼」の字が示すように「おーい」と人に呼びかけるように細く長くクモが糸を出すように吐きます。
腹式呼吸のできない人は、息を十分に吐いたあと、胸一杯(脇や背中にも)に息を吸い、次にその息を止めておなかにストンと落とします。できますか。
それをまた胸に上げます。腹と胸がフイゴのように数回繰り返して吐きます。
ストレッチとしては肩をすくめてそのまま保持し、首を左右に大きく回すと首と肩の境目の緊張がほぐれます。
首と肩は意識上は境界線があいまいですから、どちらもよく動かしたほうが効果的。
筋肉をゴリゴリ揉むとその場は気持ちよく、あともさっぱりして楽ですが、長い目で見ると結果的には筋繊維や毛細血管を破壊しますからこりを恒常的に作る体になってしまいます。
筋肉を堅くしないためには精神的にほっとくつろぐことが肝心です。ビジネス街では手っ取り早い10分間マッサージなどもはやっていますが、本来はじっくりと数十分ていねいに指圧を受けた方が心身ともにはるかにくつろぐことができます。
指圧を受ける間、いろいろの身の上話や愚痴などをされる人もありますが、それも心を解放することに役立っています。
内臓、特に肺や心臓の問題、時には胃や肝臓や胆のう、十二指腸の違和感が肩のこりや痛みとして出現することがあります。骨の問題も。あまりしつこい場合は要注意。
背中
現代は思い切り体を動かすことが少ない生活スタイルになってきました。特に職場や学校などの組織に属するとそうなりがちです。動かないと本来が動物である人間には不都合なのです。
動かないとリンパや血液の循環が悪くなり、筋肉の硬化を招いてしまいます。
あまり意識されませんが背中も例外ではありません。
背中には12個の脊椎骨があります。それにそれぞれ一対の肋骨がつながっています。
運動不足を解消するために意識的に伸びをしたりひねったりなどのストレッチが大切です。
猫のように背中を丸くしたり、蛇のように背中を反らしたりする方法がヨガにあります。
背中がはってきたなと思ったら体を前方に倒す・後方に反らす・左右に倒す・左右にねじる・背伸びするという動作をゆっくり息を吐きながら行います。
背骨の両側の筋肉(脊柱起立筋)には自律神経の反射によるコリが生じます。
背中のコリに対しては指圧してもらうのがいいのですが多少の技術がいります。そこでお薦めはせんねん灸とかカマヤミニという手軽な家庭用のお灸です。
こっているところ、圧して気持ちのいいところや少し痛い所に置いて刺激すると気持ち良くほぐれるでしょう。
指圧もお灸も家族の協力を求めることになります。協力してくれる人がいるならそれだけで社会的に孤立していないという安らぎが得られます。
神経緊張が続くと背中がばんばんに張ってきます。こうなるとぎっくり腰や寝違いの予備軍。その原因としては精神緊張や運動不足に加えて内臓の病気もあります。
内臓の疲れが反射的に筋肉のこりを作るのです。こった所を指圧で気持ち良くほぐすことで逆に内臓によい影響が与えられます。
鍼で筋肉を緩める操作もあります。
肩こりと肺や肝臓、背中のこりと膵臓、腰痛と子宮や腎臓などの関連は看過できません。
内臓からくる症状の特徴はあまり姿勢の変化の影響を受けないことです。特に夜間、就寝中に痛みだす場合は注意が必要なこともあります。
鍼や指圧などをしてもしだいに悪化する場合は「たかが肩こり、ちょっとした腰痛」とたかをくくらないで医療機関での精密検査が必要です。
腰
腰は背中との間で意識できる明確な境界線はありません。解剖学的には骨盤の上で肋骨の無い部分が腰です。肋骨のあるところは背中。英語では腰は「背中の下の方」と言いはっきりした概念はありません。
腰には5個の脊椎骨があります。下の方からは座骨神経が出ています。
腹筋の低下や肥満が腰痛の原因になります。腰椎が反るからです。
虚弱体質の胃下垂や遊走腎、婦人科の疾患も腰痛を発生させるのでそちらの調整も必要です。
骨盤と大腿骨をつなぐ複雑な筋肉構造のアンバランスが腰痛の原因であることも多く、臀部の深い指圧が有効です。
ウエストラインにはベルトのように帯脉という漢方で呼ぶスジがあります。
これを引き絞るようにマッサージすると内臓下垂に効果があり、全身の筋肉体系を調整します。
日常の養生としては痛いときはすぐ横になるにつきます。痛くないときには腹筋を鍛えたり、大腿内側部のストレッチをして筋肉を柔らかく保つことです。
漢方で言う肝経や腎経のスジが走っています。
大腿の後ろ側は英語でハムストリングと言います。すぐ堅くなるところです。
床に座り脚を前に投げ出して膝が浮かないように前屈すると伸ばすことができます。柔軟体操の代表的なポーズです。無理しないで体重でじわじわ伸ばしま
す。息は決して止めないように。
次に足の裏を合わせてあぐらをかくように座り、脚に胸を近づけるストレッチ。仰向けに寝て、両膝を抱えて胸に近づけるストレッチも効果があります。
腰痛の陰に、ごくまれに重大な病気が隠れていることは背中と同じです。
肩甲骨
肩甲骨は鎖骨を介して胸の骨に連結しているだけで肋骨の背中側に筋肉に支えられて浮かんでいます。ところがこれが筋緊張で背中に張り付いてしまうのです。こうなるとひどい肩こりに悩むことでしょう。
腕立て伏せの形で肩甲骨の前後移動をするといいのですが難しいですね。腕立て伏せは肘を屈伸しますが、肩甲骨の体操は肘は伸ばしたままで肩の前後運動をすると動きます。
鳥が羽ばたく気持ちで腕を下から上にゆっくり大きく動かすのも有効です。
肩の力でなく全身を波打たせるように行うのですが説明は困難。見れば簡単なのですが。
腕
疲労回復には腕のストレッチが有効。
まず天井を支えるように両手を頭上にしっかり伸ばします。無理しない範囲で思い切り。
次に左右の壁を支えるように左右に思いっきり伸ばします。やや体より後ろまで広げると腕と胸のストレッチになります。
前方の壁も押さえるように伸ばしましょう。
さらに、腰の後ろで両手の指を組んで後ろに伸ばしましょう。胸が広がります。
万歳して手をブルブル震わせるのも疲労回復になります。
前腕には精神緊張が出ます。また吐き気やめまい、乗り物酔いでも前腕がつよく張ります。しっかり揉みほぐすと効果的。
骨盤
骨盤に手を当てて腰をフラフープのように回すと骨盤の体操になります。左右30回くらい。
全身の力をゆるめて足の指を浮かすようにして立って腰回しを行うと体の芯から動きます。
股関節
時々お相撲さんの四股立ちをしましょう。四股で体を左右にねじると背骨の体操になります。
膝
関節面が変形して、膝に水が溜まるようになると大変痛みます。それを過ぎるとO脚になる可能性もあります。
いつも大腿の内側と後ろ側を重点に指圧して柔らかくしておくことが大切です。水が溜まっているときはその周縁にお灸をします。
痛みが強いときは痛い所にします。
歩くとき少し大股で足をまっすぐに出すように心掛けると大腿部の内側の筋肉が鍛えられて足の筋力低下の予防になります。
仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま脚を上下するのも有効。
年とともにO脚になり、上体を左右に揺すって歩くようになると膝がかなり悪くなった状態です。
漢方的には膝は脾経(大腿の前内側)や胃経(大腿の前外側)というスジに関係が深く、そのスジの力が弱っています。
膝の悪い人は脚の横のスジの胆経(大腿の外側)に過度の緊張がみられます。
また、後内側の腎経も堅くなっています。
それらを指圧したりストレッチして予防しましょう。
また、ふくらはぎがぱんぱんに張っている人もいます。スネの骨の後ろ側のくぼみをじっくり指圧すると膝が楽になります。
ふくらはぎ
堅くなりやすい筋肉です。堅くなると夜間痙攣します。はなはだしい場合はちょっとのことでアキレス腱を切る恐れもあります。
疲労の溜まりやすい場所ですから普段からストレッチをしておくこと。和式トイレの座り方、通称ウンチ座り、別名暴走族座りは下半身全体のストレッチになります。
足首を回すのもいいです。
足の裏
ここを指圧してもらうと全身がゆるみます。頭の中もゆるみます。自分でやってもいいのですが、誰かにしてもらうのが一番。
やり方は気持ちいいか少し痛いくらいで、隅から隅まで刺激すればいいでしょう。
足の裏に全身の絵を描いて、そこが痛いと関連臓器に問題がある。そこを押さえると関連臓器が治るという足裏療法が大流行しています。根拠は不明ですが何らかの効果があることは経験的に実証されています。
やたらと痛くする方法もありますが、痛くすることが目的ではなく、じーんと響かせる圧え方が大切なのです。
内臓全体
全身の疲れやストレスが内臓に反映します。ですから内臓を大切にするためには感情のコントロールも肝腎です。
漢方では怒りは肝、喜びは心、思いは脾、悲しみは肺、恐れ驚きは腎にかかわるとしています。
問題に立ち向かう勇気と逃げる勇気。
失敗には後悔でなく内省。
さまざまな局面でちょっと立ち止まり人生を味わう心境になれば自らを相対化できます。それはゆとりにつながります。
誰でものその人の立場に応じて人生に目的を持って楽しく生きることが肝腎です。肝腎は肝心とも書きます。肝要とも言います。要は腰のことです。「肝・心・腎・腰」など大切なことの意味に体の部位を用いるところはおもしろいで
すね。
内臓は基本的には自律神経にお任せですから、自律神経のバランスを崩さないライフスタイルが肝心です。
体の声に耳を傾けて、精神と肉体の調和を取っていくのが意識の働きです。
どうしても現代社会では肉体が精神に隷属してしまいます。
指圧や鍼を受けると体の内側からの声がよく聞こえます。思わぬところが痛かったり堅くなっていたり、とても気持ちよかったり。これが自律神経によく作用するのです。
呼吸器
肺を中心に横隔膜や肋間筋群、その他呼吸に関連する神経や血管、骨格全ての総称です。
呼吸しようという思い(意識・無意識にかかわらず)で筋肉に静かな緊張がおこるところです。
深呼吸する場合は足の先から頭のてっぺんまで、また手の指先、細胞一個一個つまり全身がが協調して呼吸をします。こうした一連のつながりを漢方では経絡といいます。
呼吸は大空を体内に引き込み、また返すこと。早朝の林の新鮮な空気が肺を癒してくれるでしょう。
漢方の経絡では肺・大腸という組み合わせ。胸から手の親指までのラインが肺経。人差し指から肩を通って鼻へ通じているのが大腸経。
増永指圧の場合、脚の裏外側にも走ると想定しています。深呼吸は全身で行うのですから妥当な考えです。
呼吸の働きは生物の進化に応じて空気だけでなくその場の雰囲気なども感じ取るようになりました。心を閉ざすときは胸の筋肉が堅くなり、逆に心を開くときは胸をくつろがせる、すなわち胸襟を開くのです。
消化器系
食物を摂取し消化し排泄する器官です。
唇から歯や舌、喉から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門という一連の中空器官と消化酵素を担当する肝臓、胆のう、膵臓。それらにかかわる神経や血管。内臓を支える筋膜や腹筋や背筋。さらには獲物を取りに行ったり果物を収穫に出掛けるための脚の筋肉も関係します。
中空器官は体内にありますが、口から肛門までは一本の管ですから体の外が体内に入り込んだとも考えられます。つまり胴体の中を貫いているホースのよ
うなものなのです。
腸は畑の土のようなものと考えられます。なぜなら腸の壁には無数の毛のような突起があって食べた物から栄養分を吸収するのですがこれは形態的に土から栄養を吸収する植物の毛根そっくりです。
小腸は食物を一生懸命消化吸収するところで、大腸はかすを処理するところです。
大腸のなかにはご存じのように多くのバクテリアがいます。代表的なのが大腸菌とビフィズス菌。これも畑にいるバクテリアと相似的です。
ビフィズス菌は有用菌といって、体にはなくてはならない菌です。大腸の管理はいかにビフィズス菌を上手に飼うかが重要課題となります。
朝、目覚めたらすぐに液体ヨーグルトにビフィズス菌を入れて飲み、以後2~30分なにも食べないでいるとビフィズス菌が腸に到達します。時々腸のために食べるといいでしょう。普通にビフィズス菌を食べたのでは胃液で殺菌されてしまい、腸までは到達できません。
さらに腸内にいるビフィズス菌のために餌をやります。餌はすっかり有名になったフラクトオリゴ糖。タマネギやバナナなどに多く含まれていますが、食品として販売されているものを補う方が圧倒的に効果的です。
大腸は便の水分を吸収し、固形にして排便しやすくします。そうでないと下痢ばかりで困ってしまいます。しかし長く逗留していると今度は便が堅くなって排泄困難になります。これが便秘。
これは食物繊維で刺激してやる必要があります。野菜のおひたしを小鉢一杯くらいを毎日食べなければなりません。リンゴのペクチンという水溶性の繊維は美味しくて食べやすいものです。
干しプルーンも効果があると常用している人がいます。栄養化も高いものです。
呼吸が大空を体内に取り込むことなら、消化は食物を通して大地を体内に取り込むことです。同化作用(消化吸収)はそれを身に変え、異化作用(排泄)は大地に返すこと。
この働きは人間ではモノを取り込む欲望になりました。過食や拒食など精神的問題が食事形態に現れるのはそのためです。
この経絡(スジ)は体の前面を走っています。
循環器系
心臓を中心にした血液循環と体内をくまなく流れているリンパ液があります。
体液循環にかかわる全てです。ですから小腸からの栄養を取り込む肝臓や、古い血を漉す腎臓、新しい血液を造ったり古い血を壊したりする脾臓も関係します。
その働きは栄養や酸素を運んだり、不要物を持ち帰ること。また外的環境の変化から内的環境を保護する防衛も行います。
経絡は腕の全面中央と背面中央を走ります。
血液は太古の海を体内貯蔵したものと考えられます。海の成分と血液成分と植物の葉緑素が非常に似ているといわれます。植物にとっては葉緑素が血液なのです。貧血の人が緑黄色野菜を必要とするのはそのためでしょうか。
漢方独自の考え方にお血(悪血ではありません。お血の「お」は病垂れに於という字)というものがあります。体内のいたる所に貯留して血行を妨げるもの、あるいは妨げられた結果、三日月湖のように組織に残ってしまた血液のことです。
特に腹部にある圧痛はそれの存在を示します。これを除去することが慢性病治療には不可欠です。
頭部などにもみられますが、事故やケガ、手術の後にもお血が発生します。
これら機能の弱い人は環境に対する適応能力も弱くなりがちです。
ホルモン・自律神経系
この両者は前にも書きましたが、いのちの維持はこのコントロールにかかっています。
脳下垂体や副腎や胸腺を中心にした内分泌(ホルモン)と脳・脊髄を中心にした自律神経。これらはいのちの作用そのものにかかわり、全体のバランスを取っています。
体では主として背骨の両側の脊柱起立筋に自律神経、腰に副腎の反応が見られます。ストレスの反応が顕著にでるところ。
これらの不調は免疫力の低下にかかわりますから、精神緊張を除き、ほっとくつろぐ時間が大切です。生活を楽しんで生き切ることがよいリズムを作ってくれます。
背骨の両側や腰の指圧、足裏や手のひら、頭のマッサージは有効です。
水分調節系
腎臓や膀胱の泌尿器に代表されますが、それ以外にも皮膚からの発汗や呼吸による水分蒸散があります。水分調節に血液循環は極めて重要な役割を果たし、心臓が悪いと浮腫みがでるのが知られています。
ツボの中には水に関した名称を持つものが多く、体験的にそれらが水分代謝に有効であることが知られています。特に内くるぶしの上や腹、足の裏の刺激が機能を高めます。
漢方では不要な水分を水毒と称し、気・血と合わせて三毒と言います。
運動器系
筋肉や骨格です。体の中では脳と一緒で例外的に鍛えられるところです。
筋肉をや骨を鍛えるのは適度な負荷を掛けることですが、負荷には二種類あります。ひとつはアイソメトリックス(等縮運動)、もうひとうつはアイソトニック(等張運動)。ダンベルを上下したりするような動的な体操はアイソト
ニックで、重いものをじっともち続け、一見運動していないような体操がアイソメトリックス。
アイソメトリックスは老人にも安全な鍛練です。最大筋力の70%くらいの力を呼吸しながら7秒間持続することで確実に筋力をつけることが可能です。
酸素消費からみると、無酸素運動と有酸素運動(エアロビクス)。心肺機能を鍛えるのはエアロビクスです。心拍数を一定以上に保って15分以上継続することですから、ジョギングやサイクリング、エアロビックダンスなどが代表的ですが、テニスやバドミントンなどのボールゲームは楽しく実行できます。趣味で楽しむ程度の野球やゴルフでは駄目です。
反動運動と無反動運動(ストレッチ)。静かに筋肉を伸ばし呼吸も止めないで10から20秒静かにしている体操がストレッチ。本来はヨガの応用です。筋肉を柔軟にし、運動能力を高め、疲労回復やケガの予防に役立ちます。
反動を使って筋肉を伸ばすとどうしても反射で筋肉が逆に堅くなってしまいます。無理せずにやれば体を暖めるにはよろしい。
漢方では肝と胆が筋肉や関節に関係しています。脚の内側と胴体の外側のスジをよくストレッチしましょう。開脚して前屈すると脚の内側、側屈すると胴体の外側が伸びます。
感覚器系
脳と感覚器官です。眼耳鼻舌身はお経のことばですがそれぞれ視覚(眼)、聴覚(耳)、嗅覚(鼻)、味覚(舌)、痛覚・触覚・温冷覚(身即ち皮膚)です。
ここは最前線で外的環境からの情報を仕入れるところですが、内部からの情報もとらえます。
過敏になると神経質と呼ばれる不安定な状態になります。
美しいものを見て、いい音や音楽を聴き、よい匂いを嗅ぎ、美味しいものを食べ、心地よい刺激に身を任せることはストレス解消にもってこいです。
まとめ
以上、日常簡単にできる養生法と身体調整の考え方を列記しました。治療ではなくあくまでも養生として日頃の生活に組み込んでいくものです。出来そうなものがありましたら、心掛けてみてください。
三島治療室の基本理念として、マイナスレベルをノーマルに移行するのに手助けするのが「治療」、日ごろの心掛けは「養生」、よりパワフルにと発展的に試みるのが「鍛練」と分け、全体を総称して「身体調整」と呼んでいます。
便宜上を除いて意識的に「治療」という言葉を避けているのは意味が狭くなるためです。
同じく対象とする人を患者と呼ばず、お客とも呼ばずカウンセラーが用いているクライアント(依頼者)を使用しているのもそのためです。
ですから本当は治療室ではなく互いに学び合う場として「游氣の塾」なのです。
これらの養生法は当然のこととして医療機関の各専門分野の方法を阻害するものではありません。むしろ協合してクライアント(依頼者)の人生設計実現への「手当て」となるものです。
以上、今回は粗雑な身体調整論でした。度々練り上げてもっとしっかりしたものに仕上げていくつもりです。
後記
先月の間違い。
先月の漢字の話はとてもおもしろかったと珍しく多くのレスポンス(反応)がありました。
ところが勝手知ったるとばかりに記憶に任せて書きなぐったため、大きな間違いをしてしまいました。「臣」の字の成り立ちを目を潰された奴隷と書いてしまいましたが「臣」は伏し目がちに控えている奴隷のことでした。「臣」と
いう字は目の変形なのです。そういえば形が似ています。
伏し目がちに控えているから家来つまり家臣の意味が派生したのです。さらには大臣、臣民、君臣、重臣、家臣、逆臣、忠臣、臣下などなど。
さすがに今の総理大臣はその辺りをわきまえて本来の意味通り何事も控えめ。
何一つ建設的な意見もおっしゃらないのは「臣」の意義通りです。気配りだけ
で総理大臣になった人らしいと感心しています。
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