« 游氣風信 No68「宮沢賢治生誕百年」 | トップページ | 游氣風信 No70「運動と活性酸素 三石巌 」 »

2011年2月22日 (火)

游氣風信 No69「アトピー治療 秋の七草」

游氣風信 No69「アトピー治療 秋の七草」

三島治療室便り'95,9,1

 

三島広志

E-mail h-mishima@nifty.com

http://homepage3.nifty.com/yukijuku/ 


《游々雑感》

アトピー治療

 《游氣風信》七月号に、「生命の鎖」という文を書きました。
 人体には現在分かっているだけで、約四十種類の栄養素が必要です。それら約四十
種類の栄養素がそれぞれ十分に摂取できていないと、栄養の価値は摂取したうちの最
低レベルの効力しか発揮できないので、健康で活動的な生活を送るためには、全ての
栄養素をまんべんなく食べなければなりません。

 ちょうど、鎖の輪のひと連なりが、一か所でも切れると、その鎖の輪は壊れてしま
います。そこで、栄養の連環を「生命の鎖」とたとえたのです。
 説明のために風呂桶を想像してください。風呂桶は縦に板が何枚も組み合わせてそ
れを、針金で固定することで作られています。その立て板の長さにばらつきがあった
らどうでしょう。水を入れると一番短い立て板のところから水は溢れてしまいます。
どんなに大きな桶を作っても、その中の一枚の板が寸足らずならそこまでしか水を入
れることはできないのです。
 栄養素もそれと同じで、ある種類をどんなに一杯摂取しても、何か一つの栄養素が
必要量に足りなければ、その人の栄養のレベルはその最低量になってしまうのです。

 全ての栄養素を効率よく取るためには、近年、アメリカで行われているように総合
ビタミン・ミネラルの栄養補助食品を食べることで取り敢えず全ての栄養素の必要量
を摂取し、あとは、食べ物をことをあまり気にせずにおいしくいただきましょうとい
うのが七月号の内容でした。

 その文の中で、鹿児島大学で行われているアトピー治療について紹介しました。簡
単な食事制限とビタミン剤を用いて、免疫異常を防ぎ、活性酸素の害を減らすことで
アトピー治療に目を見張る効果を上げているという新聞記事です。
 読者からそれに関してもう少し知りたいと聞かれました。

新聞にもっと分かりやすい記事が出ていましたので、ここに全文掲載します。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ユニークなアトピー治療
   食事改善とビタミン服用
信濃毎日新聞平成7年8月12日

 植物性脂肪と砂糖を多く含む食品の摂取をやめ、抗酸化ビタミンとビオチンなどを
服用することで、幼児や成人の重症アトピー性皮膚炎が治る・・。
 鹿児島大学医学部産婦人科講師の堂園晴彦(堂園産婦人科院長)、同衛生学助教授
の吉岡満城さんらのチームが、重症アトピーのユニークな治療法を考案、約二百の症
例で例外なく好成績を挙げたと、このほど日本ビタミン学会の委員会に報告した。
 堂園さんは婦人科がんの専門医で、患部の炎症治療にビタミンC、E、ベータカロ
チンの抗酸化ビタミンや、皮膚のビタミンといわれるビオチンが有効なことから、ア
レルギー疾患の炎症にもビタミン治療を思いつき、出産後の子供のアトピーに悩む母
親に、食事療法とビタミン剤を勧めた。
 アトピーの食事療法は、従来は抗原になる食品の排除が主だが、吉岡さんの理論に
よる食事療法はちょっと違う。アトピー患者の血液や免疫機能を調べると、高脂血症、
糖代謝異常、免疫機能異常が見られるので、脂肪や砂糖の過剰摂取やビタミン不足を
正すことが重要というものだ。
 毎日の食事から、油脂、特に炎症を起こす物質の原料になるリノール酸を含む植物
油脂を制限、フライパンを使ったいためもの、揚げ物、マヨネーズ、ドレッシング、
ポテトチップスなどをやめる。また、砂糖や果糖を含む食物、卵や牛乳、肉を制限し、
代わりに魚、煮野菜、酢のものをたくさん食べる。おやつもケーキをやめておにぎり
や芋にする。
 こうした食事療法を守れることを条件に患者を診療し、抗酸化ビタミン剤やビオチ
ンを投与、人によっては魚の成分として知られるDHA・EPA製剤や漢方の甘草製
剤を併用する。胎児、乳児のために母親の食生活を正し、母乳によってアトピーを防
ぐことを狙う。
 患者の血液や免疫細胞の変化などで有効性を実証する基礎的研究はこれからだが、
これまで約二百例の経験では、ステロイドホルモンを使っていない幼児では約三カ月、
難治性の思春期や壮年の人でも半年でほぼ良くなり、いろいろな食品を食べても再発
しないという。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

という記事です。

 アトピーに苦しんでいる人は大変大勢います。こうした治療がさらに研究をされて、
広く行われるといいですね。また、上記の記事の内容はある程度わたしたちも行われ
ることですし、おやつの芋だけでなく、昔の食事にすればいいのではないかという気
もします。

 免疫学の大家が言っています。
 「今はあまりに清潔になり過ぎた。昔の子供は鼻から青い鼻水を垂らしていた。周
囲にばい菌が一杯いたから入り口である鼻で必死にくい止めていたからだ。それで、
そこの免疫機構は異常に発達した。しかし、今は清潔になってばい菌はいなくなった。
それでも、空気の出入り口である鼻の免疫機能は発達したままである。その結果、発
達した免疫機構がわずかなタンパク質にさえ過剰反応しているのが、花粉症やアトピ
ー性皮膚炎ではないか。」
というのです。

 大いにうなずける点がありますね。
 逆に、風邪を引いてもすぐ薬で押さえてしまって、熱を下げ、肝機能の働きを低下
させ、解毒能力が落ち、また、リンパや白血球も十分働けないために、体の奥の免疫
機能が働き切れずにガン細胞をやっつけることができないとも言います。
 と言っても、今さら環境を汚すわけにはいきません。その他の弊害が多いからです。
そこで、先程の、食事が参考になることでしょう。つまり、日本の伝統食に加えて十
分なビタミン・ミネラルを補うことです。

 それから、食べ物には栄養ではないが体の中でさまざまな役割をするものがありま
すから、けっして食べ物をおろそかにしないように。例えば、アブラナ科の野菜には
抗ガン物質があることがしられています。タマネギにも有用なものがあるそうです。
また、食物繊維の重要性はどなたもご存じですね。
 食べ物はそれ以外に、嗜好品として楽しむことも大切な働きです。
 おいしく食べて、人生や人間関係の潤いとしたいもの。

秋の七草

 田舎道を歩いていると、道端にさまざまな秋の雑草が咲いています。昔の人はそれ
の代表的なものを秋の七草と称して親しんできました。しかし、今ではなかなか見る
ことができません。七草は次の草花です。

 萩(はぎ)、薄(芒・すすき)、葛(くず)の花、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふ
じばかま)、朝顔、撫子(なでしこ)。ただし、朝顔は今の桔梗(ききょう)もしく
は木槿(むくげ)と言われていますが、七草というからには木の花である木槿よりは
桔梗が一般的でしょう。

 萩(はぎ)は今でも道端でよく見かけます。もっともこれは萩は萩でも盗人萩。子
供の頃、種をくっつけあって遊んだ記憶があるでしょう。豆科の低木で赤紫か白い清
楚な花をつけます。なんといっても秋の七草の筆頭。愛知県稲沢市には世界中の萩を
集めた萩寺があって拝観者を集めています。
 よく似た字に荻(おぎ)がありますが、こちらは稲科のすすきの仲間。昔はこれで
屋根を葺いたのです。屋根を葺く草を総称して茅(かや)と呼ぶそうです。

  行々てたふれ伏すとも萩の原 曽良(そら)

 別名尾花はすすきです。秋の野原で夕日に白銀色に輝いている風情は秋の代名詞。
冬になると枯れすすきで
「俺は河原の枯れすすき、同じお前も枯れすすき・・・」
と哀れさの象徴になってしまいます。。

  をりとりてはらりとおもき芒かな 飯田蛇笏

 葛の花は妖艶な紅紫色。ブドウの房を逆さまにしたように咲きます。根っこはさら
して葛粉として料理に使ったり葛湯として楽しみますし、風邪の初期に効果がある漢
方薬で有名な葛根湯の材料になります。筋肉を緩め体を暖める作用があるそうです。

  葛の花水に引きずるあらし哉 一茶

 女郎花(おみなえし)は1メートルくらいの草花。黄色い花が可憐に咲くので優し
い名前がつきました。白い花の男郎花(おとこえし)もあります。

  日の当るところといへば女郎花 星野麦丘人

 一番なじみの薄いのが藤袴でしょう。キク科の多年草で、先端に薄い紫色の花を密
生させます。

 藤袴歌によむべき名なりけり 佐藤紅緑

 問題は朝顔ですが、これは現在の桔梗(ききょう)のこととされています。桔梗は
最近では庭で園芸種としてよく育てられています。紫色の清潔感漂う輪郭線の美しい
花で、白い花も見かけますね。
 俳句では時に「きちこう」と呼びます。

 桔梗や昼を濡らせる山の雨 森澄雄

 撫子は清楚で控えめな日本女性の代名詞になっている花ですが、野生種は激減し、
ふだん見かけるのは園芸種のセキチクばかりです。本家の花がこの状態ですから、た
とえられる女性に大和撫子がいなくなったのは当然でしょう。

 かさねとは八重撫子の名なるべし 曽良

 秋の七草は万葉集に
 
 萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへし又藤袴あさがほの花

と歌われているところを由来にしているそうです。

 ついでに言えば、本来、七草は春の七草、正月七日に食べる七草粥のことを指しま
す。その歌もあります。苦労して調べた難しい漢字で表しましょう。
 芹、薺、御行、愠萋、仏の座、菘、蘿蔔これぞ七草
 順番にせり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ
となります。すずなは蕪(かぶら)、すずしろは大根のことですが難しい漢字もある
のものと呆れかえるばかり。


|

« 游氣風信 No68「宮沢賢治生誕百年」 | トップページ | 游氣風信 No70「運動と活性酸素 三石巌 」 »

游氣風信」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 游氣風信 No69「アトピー治療 秋の七草」:

« 游氣風信 No68「宮沢賢治生誕百年」 | トップページ | 游氣風信 No70「運動と活性酸素 三石巌 」 »