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2011年1月25日 (火)

游氣風信 No36「癒しのしくみ 老化を防ぐ歩行」

游氣風信 No36「癒しのしくみ 老化を防ぐ歩行」

三島治療室便り'92,12,1

 

三島広志

E-mail h-mishima@nifty.com

http://homepage3.nifty.com/yukijuku/

 

《游々雑感》

癒しのしくみ
 尾張旭市で耳鼻科を開業しておられる樋田和彦先生からご著書を贈っていただきました。地湧社刊「癒しのしくみ」です。

 樋田先生は名古屋市立大学の医学部を卒業され、インターンを経て尾張旭市に耳鼻科医院を開業されました。そこで耳鼻咽喉の臨床に当たりながらも、一種の不満を感じ、人間を総合的に眺める立場からの医療を求められました。そして東洋医学(鍼灸・漢方薬)やヨガ、操体法などの門を叩きつつ、ともすると患部を機械の部品のごとく近視眼的に捕らえがちな西洋医学を相い補うことが出来る医療を模索しておられました。

 とりわけ耳鼻科は比較的生命に直結しない鼻・耳などの部品を扱う分野です。しかしそれらの病気の奥には全身の状態や心理状態、さらには生活環境やその人の生き方が深く関わっていることに臨床を通じて気づかれたのです。
 そして、韓国の柳先生が創始された手鍼療法(手に全身の状態が現れ、そこを利用して診断・治療する)に出会い、さらには大村先生の開発されたバイ・ディジタル・Oリング・テストを応用することで日頃の臨床に大活躍されています。

 Oリング・テストは最近テレビなどで紹介されていますからご存じの方もおられるでしょう。基本的には親指の人差し指の輪を作って、その輪を検査する人が両手で開こうとします。
 最初しっかりと輪が作れるのに、体の悪い部分に(例えば胃の反応部位)軽い刺激を加えますと、手の力が入らなくなって輪が簡単に開いてしうのです。今度はそこを(先の例でいけば胃)治療する薬を患者が持つと、とたんにさっきまで弱かった輪の力が強くなるのです。何種類かの薬の内、一番力が強くなるのが最も適合する薬と判
断します。
 大村先生はこの現象をさまざまに検討して臨床に使えるレベルまで実験検証して命名したのがOリング・テストなのです。
樋田先生はこのテストを利用して自律神経のバランスを判定し、さらに先の手鍼療法を応用して臨床に当たっておられます。

 このOリング・テストは最近いろいろな分野で応用されていると同時に、怪しげな健康食品や化粧品を売るために悪用されていますから、無分別に信用するのは要注意です。
 テストはあくまでも一つの技術であってそれを使用する人によって善にも悪にもなることは、包丁が料理にも殺人にも使えるのと同じことです。
 また樋田先生は「生き方懇話会」を医師仲間を中心に主宰されています。その会では人生における医療や自然と医療などの問題、医療を離れて、環境や人生の目的など多岐にわたりながらも根は共通の問題を話し合う会を医院の二階の道場で行われているのです。

 趣意を紹介しますと
 「近ごろ、いわゆる[文明]が進み、世の中が非常に便利になり、生活も豊かになってきましたが、かといって、安心して健康に暮していけるか──と言うと、決してそうではありません。嫌なことや困ったことが沢山あるのも事実です。
 このように世の中が何かと住みにくいのは、私達人間の生き方に、数多くの間違いがあるのが原因ととらえ、正しい生き方を求めて話し合い、情報交換をしていこうというのが、この「生き方懇話会」の主旨であります。(後略)」と書かれています。


 そこには医師だけでなく、鍼灸師や栄養士や薬剤師、さらには僧侶や主婦やサラリーマン、学生などが上下の差なく対等に膝を突き合わせて懇話しています。わたしも数回参加させていただきました。
 さらには数百人を集める大きなシンポジウムも3回ほど開催している実に精力的な先生です。

 病気や生き方を考えるために是非一読をお勧めします。
 注文は最寄りの書店か私まで。

 
老化を防ぐ「歩く運動」

 読売新聞平成4年11月24日大変興味深い記事が出ていました。ここで全体を要約して紹介します。書かれているのは東京大学教育学部長 宮下充正先生です。日ごろ体を動かしていない人やどんな運動をしたらよいか分からない人にはヒントになることでしょう。
 この運動にゆったりした気持ちと深い呼吸を付け加えれば一番簡単な気功法になります

 老化現象は20歳から25歳を境としてはじまる。筋力とか持久力など運動することにかかわふ身体機能は、1年に1%の割合で老化する。
 老化は、一般に、からだ全体を動かすことを減らす。この運動量の減少は、からだの脂肪量を増やし、筋肉を弱らせ、からだの活力を低下させる。 からだの活力の低下は、自身に老いを感じさせ、年齢にふさわしい行動をとらせるようになる。そして、次第にからだへの不安を募らせ、自信を無くさせる。 
 このような社会心理学敵な老化はますます日常生活での運動量減少に拍車をかけ、心臓病、高血圧、各種の痛みなどはっきりしたからだの異常をもたらす・・・。
 お年寄りに元気でいてもらうこと、だれもが何歳になってもからだを動かすことを意図的に続け、「自分の身の始末は自分でできる」ことが、社会的にも要求されて入るのである。
 健康を保つのに必要な運動量について、北欧の学者は、次のようにまとめている。


1 しゃがんだり、立ったり、歩いたりして、とにかくからだ全体を1日に1時間は動かして300キロカロリー消費すること
2 30分から40分の速歩やジョギングをするようにして、1日250キロカロリーを消費する運動を週3日実践すること。

 これをまとめると、からだ全体を動かして1週間に3000キロカロリーのエネルギーを消費すべきだ、というのである。
 私たちはここ数年間、だれもが手軽にできる「歩く」という運動を中年の人たちにすすめてきた。できるだけ歩幅を広くとり、“ややきつい”と感じる程度の速さで歩こうというものである。
 その結果、12週続けられた脾とたちに、次のような変化が見られたのである。

1 心臓にあまり負担をかけずに余裕をもって長く歩けるようになった。
2 歩幅が広がってせかせかした歩き方をしなくなった。
3 脂肪分が減少した。
4 足腰に力強さがついた。すばやい身のこなし、よろけても転ばない。
5 善玉コレステロールの増加。動脈硬化の予防。

 中高年の女性については、毎日の歩数の多い人ほど脚力は強く、骨密度が高い、つまり骨粗鬆症の予防になる。
 現在の中高年はやはり、全体として運動不足なので、まずは歩くことを意識して行うようおすすめしたい。といっても、それほど無理をしなくてもいい。これまでよりやや長い歩幅で、これまでよりもやや速いスピードで、これまでよりやや長い距離を歩くするようにするだけで十分なのである。
(スポーツ科学)

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