宮澤賢治 作品発見
宮澤家の蔵から地図の裏にメモされた賢治の作品が発見されたそうです。
岩手の猊鼻渓の辺りの作品と考えられます。
作品としての完結はしていません。
以後、いずれかの作品に取り込まれた形跡もないようです。
出先でふと思いついたことを手近の地図にメモし、そのまま忘れてしまったのではないかというのが研究者の見解です。
停車場の向ふに河原があって
水がちよろちよろ流れてゐると
わたしもおもひきみも云ふ
ところがどうだあの水なのだ
上流でげい美の巨きな岩を
碑のやうにめぐったり
滝にかかって佐藤猊岩先生を
幾たびあったがせたりする水が
停車場の前にがたびしの自働車が三台も居て
運転手たちは日に照らされて
ものぐささうにしてゐるのだが
ところがどうだあの自働車が
ここから横沢へかけて
傾配つきの九十度近いカーブも切り
径一尺の赤い巨礫の道路も飛ぶ
そのすさまじい自働車なのだ
| 固定リンク
「宮澤賢治」カテゴリの記事
- 身体から見える景色 何故身体を問うのか(2015.12.30)
- 宮沢賢治とおきなぐさ(2011.09.08)
- 宮沢賢治は何故舞ったか(2011.09.08)
- 賢者から見者へ ──栗谷川虹「宮沢賢治 見者(ヴォワイアン)の文学」(洋々社)を読んで──(2011.09.08)
- 佐藤勝治さんのこと(2009.04.22)
コメント