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2008年2月16日 (土)

追悼 櫻井教授

新聞やテレビでも詳細に報道されましたが、南山大学の櫻井進教授が輪禍で亡くなりました。

教授とは行きつけの萬福鮨で知り合っただけですが、親しみやすい方で、いつも楽しく議論を交わしました。

以下はあるサイトに書いた文章です。一部を修正して掲載します。

夕刻、ウニタに問い合わせたら「現代思想」があるというので早速購入して櫻井先生の論文を拝読しました。ポスト・フォーディズムによって、名古屋が整然となるにしたがって、庶民のノイズが大きくなる。これは櫻井さんの一連の江戸物に連なる思考だと感じました。アジールとしての今池の存在はますます大切になるのではないでしょうか。

仕事を終えてから萬福に行き、櫻井教授の好きだった清酒「立山」をカウンターに供え、大将と偲びました。お店の帰りに事故にあわれたそうで、大将はとても辛そうでした。

蘭○のおかみやピ○○の社長、松○さんらも通夜に列席してから萬福に駆けつけ、故人について語らいました。冗談をいいつつも、寂しさや哀しさは隠せません。

おそがけに二人の紳士が六文銭から萬福にやってきました(やはり櫻井さんの通夜の帰りのようです)。それで急に懐かしくなり、久しぶりに六文銭に顔を出しました。お客さんは誰もいませんでした。バンちゃんは相変わらずひっそりとたたずんでいました。

六文銭は早くも8年目に突入するそうです。わたしは実に久しぶりに「もへいじ」を味わい、その味のよさに時の流れを感じたのですが、結局、誰もが、言いようのない悲しみを笑みと酒でごまかして時間と格闘しているようで、誠に辛い一日でした。

手元にある「江戸のノイズ」(NHKブックス)や「江戸の無意識」(講談社現代新書)から推察すれば、江戸という都市の装置がもつ意味を明らかにし、真の解放区(アジール)のありようを模索し続けておられたのでしょう。

学生に白紙を渡し好きなことをしなさいという課題を出されたことがあると聞きました。

これは自由を得た時、人は何もできないということを学生たちに実際に体験させたかったのでしょう。

櫻井先生自身、いつも寂しげで、本当の自分を捜し求めておられていたようです。

享年51歳とは余りに早い。

人文学はこれからが集大成ではありませんか。

江戸の仕組みを説いた眼差しで大名古屋の奥に潜む構造を明らかにしようとされた矢先の夭折。惜しんでも惜しみきれません。

どうぞ、死という究極のアジールでゆっくりお酒を楽しんでください。

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