6月12日、愛知学院大学のモーニングセミナーを受講しました。
今回のテーマは『法律との付き合い方・・・あなたが裁判員に選ばれるかもしれない!・・・』
講師は愛知学院大学法科大学院教授 原田保先生。
基本的に原田先生は裁判員制度には反対のお立場を明確にされ、その理由を分かりやすくお話してくださいました。
そもそも裁判員制度とは何でしょう。最高裁のHPから引用します。
「平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が,成立しました。
公布の日(平成16年5月28日)から5年以内に裁判員制度が実施される予定です。
裁判員制度とは,国民のみなさんに裁判員として刑事裁判に参加してもらい,被告人が有罪かどうか,有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決めてもらう制度です。」
まもなく裁判員制度が実施されます。基本的に誰もが選ばれ、ある種の条件を満たさない限り断わることはできません。
誰もが不安に感じている裁判員制度に関しどのように対応したらいいのか、これが今回のお話の骨子です。
先生のお話ですと法曹界の常識と一般社会の常識との間には乖離があり、裁判に一般市民を参加させることでこの乖離を是正するのが目的だそうです。
先生ご自身は、この乖離の是正という点には賛成ではあるが、では一般の市民の常識が果たして健全なのか。ここに大きな問題点があります。
この問題に対し、先生は一般に常識と思われている「安全神話の崩壊」と「少年犯罪の増加と凶悪化、低年齢化」が本当に正しいのかを具体的な資料を示されて説明されました。
国際的なアンケートの結果から、国際的に見て日本が最も安全であること、しかし治安に大きな不安を抱いている国民であるということ説明されました。これには多くの受講生が声を上げて驚いていました。
つまり日本人は最も安全な国に住みながら最も不安を抱いている国民なのです。
さらに法務省の資料から少年犯罪の発生率は戦後ほとんど変化が無いこと、むしろ漸減傾向にあることを資料で示されました。しかし一般の印象は少年犯罪が増えていると思われています。
しかもその資料から今日は未曽有の老人犯罪社会だと言えるほど高齢者の犯罪発生率が高いことがうかがい知れます。
先生はこうした事実誤認はマスコミの報道の責任が大きいこと。
そのマスコミに情報を頼らざる市民にはたして客観的判断を要求される裁判員が可能なのか。
この点を心配しておられます。
以上に加えて量刑判断の困難さと複雑さ。さらに刑罰は復讐代行制度か否かという説明から、加害者の責任とは無関係に被害者自信への支援措置が必要ではないかとまとめられました。
セミナーの落ちが秀逸でした。
「新聞を読むときすべてを信じてしまう人、これは困った読み方である。
新聞を読むときすべてを疑う人、これは多少ましだがまだ困った読み方である。
自分の経験や知識と判断力で疑問を持ちながら本当の意味を読むこと、これがいい読み方である。」
こう説いたのが誰あろう、かのアドルフ・ヒトラーだったそうです。
難しい法律をやさしく説明された楽しい一時間でした。
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