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2006年6月27日 (火)

梅雨の養生

梅雨たけなわです。
梅雨とは梅の実が熟す頃の雨という意。また、黴が生えるので黴雨(ばいう)という説もあります。俳句の季語には雨に打たれた青葉が美しい青梅雨、雨が降らない空梅雨、激しく降る荒梅雨、さっと降ってさっと止む走梅雨、梅雨の晴れ間を輝く梅雨の星や梅雨の月など色々な言葉があって季節を彩っています。

五月雨(さみだれ)も本来は梅雨のことを表していますが、新暦が基本になった現代では五月に降る雨として用いられます。芭蕉の「五月雨を集めて早し最上川」「五月雨の降り残してや光堂」、蕪村の「さみだれや大河を前に家二軒」などの句は旧暦の五月であり、丁度田植えの頃に降る雨、まさに梅雨を指します。

さて、梅雨時は寒かったり暑かったりと気温が定まらない上に、湿気が厳しく過ごし難い時期です。特に病気の方やお年寄には辛いものです。関節が痛んだり、呼吸が苦しくなるのが通常ですが、これは湿気と低気圧によるものと考えられます。

漢方では湿気は湿邪として身体に影響を及ぼし、それは特に消化吸収の要である「胃」と「脾」に影響を与えるとされています。「脾」は現代医学の脾臓との関連は薄く、むしろすい臓に近いと言われています。つまり「湿邪」は食べ物を摂取、消化して吸収する能力を損なうのです。それに加えて蒸し暑いとついつい冷たいものを口に入れてしまいますからますます消化器が弱ってしまいます。

さらに困ったことに、先ほど述べた梅雨の別称である黴雨。梅雨には食べ物がいたみやすいという厄介な問題があります。いかに冷蔵庫があるといっても油断は大敵。食品に繁殖するのは黴だけではありません。食中毒を起こしやすい黴菌だって元気に活動することでしょう。

湿気と冷たい食物で弱った胃腸に黴や黴菌でいたんだ食べ物。このダブルパンチがますます胃腸を痛めつけてしまいます。

この時期の養生として、まず湿邪を避けること。それには冷たい食べ物や飲み物を極力避け、胃腸を労わります。つぎに汗を速やかに拭き取って身体の冷えを防ぎます。エアコンは十分注意して使用してください。

寝る前にはじっくりと身体を芯から温める半身浴がお勧めです。じくじく出てくる汗から粘り気がなくなればしめたもの。風呂の後は汗をよく拭いて身体の冷えの予防です。

湿邪にやられると脳の思考も鈍ると言われます。ぼんやりして交通事故にあってもつまらないので十分な睡眠も必須でしょう。経絡という身体にあるスジを伸ばして「胃」や「脾」を活性化することも有効です。それらの経絡は身体の前面を走っています。指を組んで万歳をしながら深呼吸をすると経絡がよく伸びて、その影響で疲れて下垂した内臓が上がってきます。身体の柔らかい人は正座をしてそのまま後に倒れるストレッチをしてもかまいません。

梅雨は鬱陶しい季節です。「鬱陶しい」という漢字まで鬱陶しいですね。しかし最初に書いたように緑の最も美しい青梅雨の候でもあります。青時雨という言葉もあります。洗濯物が乾かないとか、食べ物がすぐ腐るとか、関節が痛いとかと悪い側面ばかり見ないで、慈雨の美しさを眺める(長雨る)余裕も欲しいものです。

(大雨で災害に遭遇された方たちには心よりお見舞い申し上げます)

http://homepage3.nifty.com/yukijuku/

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