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2004年8月

2004年8月30日 (月)

白杖園

先週の金曜日午前中、岐阜市にある視覚障害者施設白杖園で経絡指圧の講習を行いました。
参加者は白杖園でマッサージ治療に携わっておられる5名の方です。
皆さん視覚障害者で、中には聴覚障害という二重の障害を抱えている方もあります。
今回はこの二重の障害とともに生きておられるI さんのお骨折りで講習にこぎつけました。
I さんは福祉系の大学を卒業されて、その方面のお仕事をされておられたのですが、次第に視力が低下したため、改めて盲学校に入ってマッサージの資格を取得されたそうです。
参加された先生の中にはこの道15年というベテランもおられます。
それでもみな初心者の態度で増永静人先生提唱の経絡指圧を謙虚に素直に真剣に学んでくださいました。

経絡指圧の身体観
経絡の考え方
二点弁別と二点融合
正中面の自覚
経絡に触れる・触れられる
経絡を利用しての肩こりの具体的な治療の仕方

これらを駆け足で指導・勉強しました。
みなさんとても熱心で予定の二時間はあっという間に過ぎたのでした。
私も今までいろいろな場所でいろいろな方を相手に講習をしてきましたが、ここまで集中して楽しくできたことはめったにありません。
本当に楽しい時間でした。
I さん初め、他の講習生の方々に感謝です。

翌日、互いに練習して出てきた疑問点が早速メールで届きました。
また増永静人著『経絡と指圧』(医道の日本社刊)の点訳本が岐阜の視覚障害者生活情報センターアソシアにあることまで突き止められたようです。

増永先生が没して20数年経ちますが、こうしていささかでもその教えの種が撒けたことは本当にうれしいことです。

http://homepage3.nifty.com/yukijuku/

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2004年8月 5日 (木)

『五輪の身体』斎藤孝著

今を時めく身体論の寵児斎藤孝さんが近著でわたしの経絡指圧の恩師増永静人先生に触れています。
うれしいですね。
ハンマー投げの室伏選手との対談です。
以下に引用させていただきます。

室伏 力まかせに投げているイメージがあるんでしょうね。でも力じゃない。実はいま、僕が何もしないでもハンマーが飛んでいく方法が見つかりそうなんです。
齋藤 何もしないで? ついに空気投げか何か(笑)?
室伏 ハハハ。体操選手が大車輪をやるとき、自分の体重の何倍もの重さが手にかかってくるでしょう。でも、引っ張られることに対しては耐えられる。筋肉には能動筋と受動筋があって、受動筋は非常に強いんですね。
齋藤 受身の方が強い。
室伏 そうです。僕らもそういう筋肉を使ってるんです。いくら鍛えて握力があるといっても、せいぜい100キロぐらいですから。300キロ、350キロという重さを支えられるわけがない。だから、より受身に徹さなきゃいけない。飛ばそうと思えば思うほど、受身になっていく。
齋藤 ある意味、ハンマーに回されているわけですね。
室伏 なんか宇宙っぽいんですよ。僕とハンマーが回転しながら、さらにサークルに沿って回っている。自転と公転みたいな。
齋藤 いわれてみれば、動きも楕円運動だし、引っ張りつつ引っ張られているという引力関係にも似てますよね。
室伏 そこのバランスが全部うまくとれなきゃいけない。僕はコスミックスポーツって呼んでるんですけど(笑)。
齋藤 コスミックスポーツ。その受動感覚は面白いですね。自分が回してるんだけど、回されてもいるって感覚が。昔、アルバイトで指圧をやってたんですが、強く押しすぎてしまう傾向があった。ツボだと思うと、ついグッといっちゃうんだけど、「痛い」とか文句いわれて。そのときに、意識を反転させてみたんです。
室伏 押してるんじゃなくて、押されてる?
齋藤 そう。押してる圧力は変えない。でも、押されてるんだとイメージしただけで、相手がゆるむんですね。一体感が出る。増永静人さんという人が「支え圧」という指圧をやっていて、「筋力で押すな。自分が液体化して、相手と一体になるように支える感じがいいんだ」といってるんです。そういうイメージですね。

『五輪の身体』齋藤孝 2004 日本経済新聞社
引用箇所(pp.34-36)

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